27話 「マジンガーZvsゲッターロボ!」 ◆T6.9oUERyk
「勇、勇・・・どこに居るの?」
抜けるような青空に悪鬼の如き人型機動兵器が一機。
「本当にしょうがない子、ちっともじっとしていないで、いつも心配ばかりかけて・・・」
死神の鎌のを手に、悪魔の翼を背に、赤い鬼は天を駆ける。
やがて、鬼は市街地上空へと差し掛かり
「見られてる?」
不快感、誰かが自分を覗き見している。
クインシィ・イッサーは機体を静止させ、周囲を見渡す。
視線が一点で止まり
「そこかぁぁぁぁあ!!」
悪鬼は逆落としに一つのビルへと
「こそこそと、不愉快なんだよぉぉぉおっ!!」
巨大な戦斧がビルを打ち砕く
「うおぉぉぉ!ロケッッットォ・パァァァァンチィ!!」
回線を通して響いたその雄叫びにクインシィが反応した瞬間。
立ち上る煙と破片の貫き漆黒の拳が飛来。着地の直後のわずかな隙を付かれ
悪鬼はなす術も無く、豪腕に殴り飛ばされた。
「行き成り見つかるなんて、もう神様なんて信じないぞ、俺」
煙幕を突破して襲撃者へと迫りつつガロードはぼやく。
つい先ほど、東と南からの戦闘音を耳にしたガロードはマジンガーをビルの一つ(都合のいいことに、大型車両用のガレージがあった)に隠し、
肉眼で接近する機体がないか監視していた所、この赤い機体が飛来。
生身でビルの影に隠れつつ見張っていたのに、気付かれ降下してきたので大慌てで機体に乗り込んだのだ。
粉塵を抜けた魔神は起き上がろうとする赤鬼へドリルミサイルの打ち込み
「問答無用ってなぁ、自業自得だぜ!ルストハリケェェェン!」
魔神は容赦なく腐食性の吐息を浴びせる。
「殺しはしないぜ、色々と聞きたいこともあるからな。ついでに食いもん。」
「くぅぅ、この!」
歯噛みして動かそうとするが、腐食性の強風を浴びせられた機体は内部機器こそ無事だが間接部が逝かれてまともに動作しない。
『殺しはしないぜ、色々と聞きたいこともあるからな。ついでに食いもん。』
回線を通して聞こえる少年の声
そのあまりにふざけた(依々子主観)言動に、何かがぶち切れた。
「なめるなぁぁ!どうしたゲッター!お前の力はこんな物じゃないないだろう!?お前は…
お前は強い子なんだから!!」
瞬間、悪鬼の形が崩れた
『な、なんだぁ!?』
融けるように崩れた形は、直ぐに一つの形を成す。
尖がり帽子の様な頭部に細い足。そして腕には…
「これが…この子の力?」
『形が変わった?ちぃ、ルストハリケーンも効いてねぇ!』
暴風を止め、魔神は鉄拳を繰り出す、が
「ドリル・テンペストォォォ!!!」
右腕の巨大なドリルから迸る竜巻が、飛来する鉄拳を明後日の方向へと弾き飛ばし
『うわぁぁぁ』
あまりの豪風に重量20tの鉄の巨人が吹き飛ばされ空を舞う。
強烈な回転モーメントを加えられた魔神は姿勢制御すら儘ならず、激しく回転しながら地に叩き付けられた。
「うぅ…」
霞がかった思考がだんだんと明瞭になってくる。
「いててて、オレは」
全身に走る痛みに顔をしかめながら身を起こしたそうとして、ガロードは気付いた。
身体が自由に動かない。よく見てみると、支給品の毛布とロープで簀巻きにされている。
「お目覚めかい?」
声のしたほうに顔を向けてみると…
赤い悪魔を背景に、勝ち誇った顔で自分を見下ろす少女がいた。
【クインシィ・イッサー 塔乗機体:真ゲッター1(真(チェンジ!)ゲッターロボ〜地球最後の日)
パイロット状態:上機嫌
機体状態:ダメージ蓄積、ドリルテンペスト1発分EN消費
第一行動方針:捕虜(ガロード)から情報を聞き出す
第二行動方針:勇の撃破(ネリー・ブレンに勇が乗っていると思い込んでいる)
最終行動方針:とにかく勇を殺す】
【ガロード・ラン 塔乗機体:マジンガーZ(マジンガーZ)
パイロット状態:簀巻き、全身鞭打ち
機体状態:装甲にダメージ蓄積、片腕喪失(近くに落ちている)
ドリルミサイルを10発ほど消費、ルストハリケーン一発分EN消費
第一行動方針:目の前のお姉さんと会話
第二行動方針:なんとかして毛布をほどいて貰う
最終行動方針:ティファの元に生還】
備考:ガロードを簀巻きにしている毛布は支給品、ロープは適当に拾った物です。
真ゲッターはゲッター1に戻っています、以後もモーフィング変形が可能かは不明です。
B-1市街地のビルの一つが砕け散り、周囲には戦闘の痕跡が残っています。
【初日 12:40】
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