43話 「インターミッション」 ◆vQm.UvVUE.
「おい、そこの金ピカのやつ、お前はこのゲームに乗っているのか?」
なんて事なんだ、よりによっていきなり他の参加者と当たるなんて。
というより、何で僕がこんなゲームに参加しなければいけないんだ。
僕なんてコーディネイターでもなんでもない、ただのナチュラルなのに。
「おい、そこの金ピカ、聞こえないのか」
まずい、このまま何も答えないと攻撃されるかもしれない。
幸い相手は積極的に参加してるようなわけでもないようだし・・・・・・
でも、それが罠だったらどうしよう、もしかして僕からいろいろ聞き出したらズドンと・・・・・・
「おい、何とか言えよ、もしかしてゲームに乗ってるのか?」
「まあ待つニャ、マサキ」
「そうよ、こんな状態でいきなり話し掛けたから驚いてるかもしれないニャ」
どうやら一人じゃないらしい。
とするとこの人は本当にゲームに参加してないようだ。
「ご、ごめん、僕はMSは乗ったことなくて」
「なんだ、一般人か?だけどここに移動したとき操縦や操作方法は頭ン中に流れ込んできただろう?それとも俺だけか?あれは」
それは自分にもあった事だ、どういうわけだかこのMSはコーディネイターではないナチュラルの自分にも操れるようだし
色々な操作方法も何故だかわかる。
「ちょっと惑っちゃって」
「あーそうか、まあラッキーだったぜ、どうやらゲームに乗ってるってわけじゃないようだしな」
「それじゃあ君も?」
「ああ、こんな胸糞の悪いゲームに誰が乗るってんだ、俺はとりあえずこのゲームに乗ってない奴等を集めてこのゲームをぶち壊してやるつもりさ」
「でも、この首輪はどうするの?これがある限りどうしようもなんじゃ・・・・・・」
そうだ、もし主催者に逆らうような事をすればあの女の人のように・・・・・・
「逆にいえばこの首輪さえ外しちまえばどうとでもなるって事だろ?どうだ?俺についてこないか?こんなとこに一人でいても危険なだけだろ?」
確かに、一人でいても危険なだけだし、今は彼を信じるほかないのかも・・・
「・・・・・・分かったよ、とりあえず君を信じるよ、僕はカズイ、カズイ・バスカーク」
「俺はアンドー・マサキだ、とりあえず街のほうに向かおうぜ、地図によると南の方にあるみたいだ」
そういうと、彼の緑色のMSは北に向かって歩き出した。
「という訳なんですよ」
「迷ってねーよ、ここで戦闘している気がしたんだよ」
「口からでまかせニャ、マサキの方向音痴はもうお約束よ」
「一人だったら絶対に禁止地区に入って『ボン』ニャ」
「なるほど、つまり我々は彼の方向感覚の無さに助けられたというわけか」
「僕等にとってはラッキーでしたね」
ゴステロを追い払った後、ゼクス達4人は機体を降り、
今までの経緯とお互いの経緯についてを話し合っていた。
「しかし、CE、AC、そして地底世界ラ・ギアスですか、にわかには信じられない話ですね」
カミーユはそう呟きマサキのそばにいる喋る猫二匹を見て。
「まあ、もうこれ以上驚く事も無いと思いますけど」
と肩をすくめる。
異なる4つの世界、そんなものそう簡単に信じられるわけじゃないが、喋る猫を見てしまうと何でもありなのかなとも思ってしまう。
「俺としては有り得る話だけどな、俺のいた所にもヴォルクルスってとんでもない怪物がいたし、これに近い体験もしたことがある」
マサキはそういうが他の3人にすると、やはり夢物語だ。
「それと分かった事が一つあるぜ、ここにいる全員が地球人だって事だ」
そうなのだ、異なる4の世界があるというのにすべての世界には地球がある。
「何か意味があるのかな?」
「さーな、でも何かヒントになるかもしれないだろ?」
「マサキにしては鋭い事をいうニャ」
「そうだな、しかしそれを考えるのは後でもいいだろう、問題はこれからどうするかだが」
そう、今は仲間を集めるのが先決なのはここにいる4人の共通の認識事項だ。
「どうします?カズイ君達は街を目指していたようですけど」
「そうだ、街みたいな目立つ場所なら誰かいるかもしれないだろ?」
「僕はただマサキに付いていっただけだけど」
「それはやめた方が無難だな」
その意見をゼクスがそう否定する。
「何でだ?」
「恐らくこのゲームに乗った参加者も同じことを考えているはずだ、街と補給ポイントは確実に抑えられていると思った方がいい」
そう、ゴステロのようにゲームに積極的に参加している参加者はそういった場所をまず抑えるだろう。
「じゃあ、どうします?闇雲に探すのも大変ですし」
カミーユがそう尋ねる、確かにこの広い地形では闇雲に探し回っても人と出会える可能性は少ない。
「同じ危険を侵すなら補給ポイントだ、カミーユのメリクリウスのエネルギーを補給したいのもある、
メリクリウスの防御力は我々の生命線にもなりかねないしな」
「そうですね、さっきの戦闘のおかげでもうエネルギーもかなり減ってしまいましたし」
「危険はあるけど他の参加者に会えるかもしれないしな」
「マサキ、そっちの方向に補給ポイントは無いのよ」
ゼクスの提案に反対するものはいなかった。
「それとカズイ、君はMSの操縦はまったくした事は無いといっていたな」
「はい、そうですけど」
「幸い私のメディウスは複座で操縦は私一人でできる、メディウスに乗るといい」
これはカズイにとっては有り難い提案だった。一も二も無く同意する。
「という事は一機捨てる事になりますね、ならマサキ、百式に乗り換えた方がいい、性能は段違いだ」
「OK、俺としてもこいつのトロトロした動きに飽き飽きしてたんだ」
そして全員が機体に乗り込む。
こうして、ゼクス達一行はこの場に旧ザクを置き去りに補給ポイントへ向かうのだった。
【ゼクス・マーキス 搭乗機体:メディウス・ロクス(スーパーロボット大戦MX)
パイロット状況:健康
機体状況:良好
現在位置:C-5
第一行動方針:補給ポイントに向かう
第二行動方針:味方を集める
最終行動方針:ゲームからの脱出、またはゲームの破壊】
【カミーユ・ビダン 搭乗機体:メリクリウス(新機動戦記ガンダムW)
パイロット状況:健康
機体状況:EN残量少
現在位置:C-5
第一行動方針:補給ポイントに向かう
第二行動方針:味方を集める
最終行動方針:ゲームからの脱出またはゲームの破壊】
【カズイ=バスカーク 搭乗機体:メディウス・ロクス(スーパーロボット大戦MX)
パイロット状況:良好
機体状況:良好
現在位置:C-5
第一行動方針:ゼクス達についていく
第二行動方針:補給ポイントに向かう
最終行動方針:ゲームからの脱出】
【マサキ=アンドー 搭乗機体:百式(機動戦士Zガンダム)
パイロット状況:良好
機体状況:良好
現在位置:C-5
第一行動方針:補給ポイントに向かう
第二行動方針:味方を集めえる
最終行動方針:ゲームからの脱出またはゲームの破壊】
【初日:13:30】
――Power trip
-AI1-――
メディウス・ロクスの複座に座った瞬間、カズイの頭の中に再び流れるものがあった。
しかし、それは操縦などとは関係ない、あるものに対する知識。
(ツェントル・プロジェクト・・・自己再生・・・自己進化・・・・・・自己増殖・・・・・・・・・ターミナス・エナジー・・・・・
・・・・ラズムナニウム・・・ガルムレイド・・・・・・学習・・・・・・超エネルギー体・・・・・・・・全てを一つに・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ALL INONE・・・・・・AI1)
カズイは震える。
これは・・・・・・これは歓喜だ。
(はは・・・・・・はははははははは!凄い!これなら僕は生き残れる!
僕はAI1とともに生き残れる!これならあの怪物にだってきっと勝てる!キラにだって勝てるんだ!)
このゲームに参加したときの絶望感が消えていく。
「どうした、気分でも悪いのか?」
震えだしたカズイを見て、ゼクスがそう尋ねる。
「いえ、ちょっと緊張しちゃって」
とりあえずはそう答える。
(ゼクスさん達がこのまま上手くやってくれるならそれでいいけど、もし駄目なら、僕は一人でこのゲームを勝ち抜く、
このメディウス・ロクスが、いや、AI1があれば簡単だ、この力があれば地球に戻った後でも、僕は英雄になれる!
今までの足手まといじゃないんだ!そうだ、もしゼクスさん達が駄目になったらこの力を持ってキラの所に行こう、
キラに見せ付けてやるんだ、今の僕の力を!)
内心で笑いながらカズイはゼクスに気付かれないようにAI1の情報を引き出す。
一人の少年を狂気に染めて、AI1は待ち続ける、己の進化を。
【カズイ=バスカーク 搭乗機体:メディウス・ロクス(スーパーロボット大戦MX)
パイロット状況:良好
機体状況:良好
現在位置:C-5
第一行動方針:ゼクス達についていく
第二行動方針:補給ポイントに向かう
第三行動砲身:AI1を完成させる
最終行動方針:ゲームからの脱出または優勝またはゲームの破壊】
補足:C-5に旧ザクが1機乗り捨てられています
【初日:13:31】
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