81話  「煮えきらぬ者」  ◆960Brut/Mw



会場全体に幼い少女の声が残酷な結果を告げていた。
そんな中、G-6基地の一角――格納庫に一つの機体が収められ、整備を続ける一つの影があった。
その影――バーナード・ワイズマンは全ての名前が流れていき禁止エリアが告げられたとき、はじめて手を休め、手元のメモに禁止エリアを書きなぐった。
そして、一息つく。
「・・・・・・10人か」

俺は運がよかったんだろうな・・・。

改めて自身を振り返り、自分が11人目になっていても何の不思議もなかったことを思い出す。

少年も・・・少女もいたな・・・。

最初に集められた会場。
そこには老人こそいなかったもののまだジュニアハイスクールに通うような年頃の子もいたような気がした。
心が痛んだ。
ぼんやりと格納庫の天井を眺める。

やめよう――

そう思った。
自分が生き残るためには少年も少女も全てを蹴落としていくしかない。なら相手のことを考え、心を痛めるのは無駄だ。考えるだけ刃が鈍る。
いくらやりきれなくとも最後には殺すしかないのだ。
幸いにも殺し以外にもいまはやらなければならないことがあった。
この基地には設備はあってもどこにも資材はない。燃料もない。
しかし、磨耗したパーツの研磨、ヒビの溶接、細部に入り込んだ砂の除去、機体に生じた歪みの修正とそれに応じたOSの調整。
騙し騙しの整備でどこまでができるか判らないがやることは多い。
機体の火は落として敵の索敵にはかかりにくいようにした。格納庫の端末にアクセスして基地のレーダーに敵機が引っかかれば分かるようにもした。
この状態なら作業に没頭できるはずだ。
没頭していけばこのゲームのことも、いずれやらなければならない嫌なことも忘れていられる。

すくなくとも今だけは――。

そう思ったバーニィは中断していた作業を再開する。

放送の終わった格納庫にはただ作業の音だけが響いていた。



【バーナード・ワイズマン(機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争)
搭乗機体:ブラックゲッター(真(チェンジ!)ゲッターロボ 地球最後の日)
パイロット状況:頭部に軽い傷(応急処置済み) 
現在位置:G-6基地格納庫
機体状態:装甲に多数のへこみ 戦闘に若干の支障(整備をおこなえば問題はない)
     マント損失、エネルギーを3/4程度消費、整備中
第一行動方針:機体の整備を続ける
第二行動方針:ゲッターを使いこなす
最終行動方針:優勝する
備考:頭部に生じているヒビをヘビーアームズのピエロの仮面で隠している】


【初日 18:10】


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