10話「赤い彗星」
◆T0SWefbzRc


 NT能力と因縁。二人が引き合い、お互いが遭遇するのは当然のことであった。
「お前は…シャアか!?」
「そうだ。フフフ、久しぶりだな、アムロ」
「シャア!貴様!」
「おっと。私はこのような愚かなゲームに乗るつもりはない。機体を収めてもらおうか」
「いや、シャア…」
「信用出来ないか?だが、私とて貴様との決着を着ける場所は選びたいのだ」
「そうじゃなくてだな…」
「ならばどうした」
「その、だな。」
「ん?」
「だ、大丈夫なのか、それは?」
「……。」


 空高く、某大佐のパーソナルカラーのように赤い戦闘機が飛んでいる。
エースと呼ばれる女性の思い出の機体。
「なあ、アムロ」
その戦闘機と並列して飛んでいる機体から通信が入る。
「どうした、シャア」
「その機体、色といい、設定といい、私向」
「断る」
いや、機体ではない。その細長い円筒形のボディ。
風を切る、流線形の先端。そして、危険を示す独特のマーク。
「いけずだな。自爆するぞ?」
「貴様も死ぬだろうが」
ボディこそ真っピンクに塗ってあり、なんか先端に角が付けてあるが見間違えようがない。
「それより、少しスピードを下げろ」
「こっちは戦闘機に乗ってるんだ。あまり下げると動かし辛い」
「摩擦熱と風圧で、私の体が持たん時が来ているのだ!」
「分かった。分かったからそんな切ない声出すな…」
赤い彗星、シャア・アズナブルに支給された物。それは…
「どうして核ミサイル外部にシートが付いているのだろうか?」
人類の生みだした最悪の兵器だった。
「知るわけないだろう。というか、乗るなよ」
「仕方あるまい。生身で歩くよりはマシだ。
シートに、マニュアルによれば、だが、高い耐熱性や環境調整能、
更には通信機能まで付いているという実に都合の良いパイロットスーツも掛けてあった事だしな。
ヘルメットのデザインも素晴らしい。
事実、このような高空を、このスピードで飛んでも耐えることが出来ている。
不幸中の幸いというのだろうか」
「いや、こんな所に連れてこられて、そんな物を支給されている時点でもう不幸中の不幸だと思うんだが…。
そういえば、それはどうやって操縦してるんだ?」
「シートに乗ってシートベルトを締めていればファンネルを動かす要領で動かせるようだ」
「サイコフレームでも入っているのか?」
「私が知るわけあるまい」
「もっともだな…」
ミサイルの上でふんぞり返っているネオジオンの総帥を見て、思わずアムロは溜め息を吐く。
(なんで俺はこんな奴に付き合っているんだ?)
チラリ、とシャアに目をやる。
(置いていこうか…?)


アムロは思った。確かにミサイルは速い。その最大速度は戦闘機の比ではないだろう。しかし。
「これは中々キツイものだな」
パイロットが外部に居る以上、その肉体的な面を考えれば戦闘機でも十分にブッチギることが出来るのではないだろうか。
(いや、出来る!)
そう結論付けた瞬間だった。
「そうだ、アムロ。予め言っておくが」
「私を置いていこうとしたら追い縋って貴様ごと自爆するからな」
シャアの一言で場は凍った。
「ハ、ハハ、俺とお前は今、協力関係にあるんだ。
そんなことする訳がないだろう?
(NTの感覚で分かった…。コイツ、マジだ。マジで自爆するつもりだ)」
「そうか。フ、済まなかったな。疑ったりして。
だが、今の君は私にとっての生命線なのだ。不安になる気持ちも分かってくれ。
(貴様が何を考えてたかなんてお見通しだというのだ!)」
「ハハハ…(頭痛がしてきた…)」
「フフフ…(別の機体が欲しいな…)」
こうして、ライバル同士の奇妙な協力関係は結ばれたのだった。

【アムロ=レイ 搭乗機体:VF-1Jバルキリー(ミリア機)(マクロス7)
 パイロット状況:軽い眩暈、ストレス性の頭痛
 機体状況:良好
 現在位置:G-1
 第一行動方針:シャアと核ミサイルをなんとかする
 最終行動方針:ゲームからの脱出】

【シャア=アズナブル 搭乗機体?:核ミサイル(スーパーロボット大戦α外伝)
 パイロット状況:風圧、加重、摩擦熱により少し疲労
 機体状況:真っピンク
 現在位置:G-1
 第一行動方針:アムロをダシに別の機体を入手する
 第二行動方針:もしくは隙を見てアムロから機体を奪う
 第三行動方針:核ミサイルをなんとかする
 最終行動方針:ゲームからの脱出
備考:特殊なパイロットスーツとシャアのセンスでは素敵なヘルメットを所持、装着
核ミサイルは外部にシートが取り付けてあり、シャア色シャア角カスタムが施されている
核ミサイルはシートに乗った人間の意思で自在に動き爆発する?
また、離着陸も問題なく行える】

【初日 14:30】


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