15話「金髪お嬢とテロリスト」
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「参ったわね………こんな機体じゃ、クロノクルにも勝てやしない」
仮にもザンスカールのエースパイロットに、割りと失礼なことを呟いた。
「………ていうか、バイクじゃないの。コレ」
バイクのようなマシン………プロトガーランドに乗り、パイロットスーツではなくライダースーツを着る彼女は、カテジナ・ルース。
強化手術を受けてから女らしくなってきた体のラインが、くっきりと解るタイプだ。
胸も、今にもはちきれんばかりに押し上げられている。
「………ドゥカー・イクやレンダじゃないんだから」
とりあえずはガーランドを南に走らせ、ツーリングを楽しむことにした。

「………」
目の前の機体は、まだ俺には気付いちゃいない。
「………ククク」
この機体なら、アレは簡単に殺れる。だが………それじゃ面白くない。
「………遊んでみて、もう一匹ばかし出てくるのを待つとするか………」
そう呟やき、不死身のテロリスト……九龍とも呼ばれるガウルンは、動きだした。


「待ちなァ、嬢ちゃん」
「ッ!?」
いきなり、前方にあらわれた機体に驚き、カテジナはガーランドを急停止させた。
見覚えのあるライン……作られたメーカーは違うようだが、それはまさにMSだった。
(ザンスカール製でも、リガ・ミリティアでもない………でも、ガンダム?)
「嬢ちゃんよォ、この近くに人見なかったかァ?」
暗色系で統一され、赤いアーマーを前面に展開しているが………間違いなくガンダムだ。
「………いいえ、見てないわ」
「そうかい、じゃあ………死になッ!」
「ッ…!」
その機体はアーマーを後方へ展開しはじめた。その隙に、カテジナはガーランドを、ガウルンの反対側へと突っ走らせた。


それから、15分ほど。
カテジナは一つ、ミスを侵していた。
ガウルンの乗っていた機体。それはMSではなく………
「ひゃぁぁぁっはぁぁぁ!マスタークロォォォス!」
MF……モビルファイター、マスターガンダムだったことだ。
ガウルンは、手拭い状の武器をガーランドに伸ばすが、ガーランドはそれを全て間一発で避ける。
(いつまでも、こんなんじゃ………!)
「捕まえたぜぇ!」
いつのまにか、前方へと周り込まれた。MFの俊敏性……故か。
(後少しは遊んでみてもいいが……誰も居ないみてぇだしな。潮時か)
「死にな!ダークネスフィンガー!!」
「つうっ!」
カテジナは轟音とともに迫り来る死を覚悟した。


――金髪お嬢とテロリストと執事とアフロ――



………覚悟していたが、轟音が響き渡るばかりで、痛みも終局も訪れなかった。
「…………?」
「おぉ、大丈夫ですかな?」
見れば、マスターガンダムへと………
「こっちも、………ガンダム?」
砲撃の雨あられを降り被せる機体があった。
「申し遅れました、お嬢様。私、ギャリソン・時田と申します。こちらは、ガンダムレオパルドデストロイでございます」
ガンダム……レオパルドデストロイは、マスターガンダムへと撃った砲撃を緩めた。が、……
「ほほう、あれだけの銃撃を」
「へっ、効かねぇよ。……効かねぇなぁ!」
マスターガンダムは、銃撃の大半を蹴り払い、受けとめ、避け続けていた。
(やっと骨のあるやつが出てきたじゃねぇか……)
当初の目的である、別の人物。しかもかなり腕がたつらしい。
こいつはここらで殺っておきたい。
「死ねや、爺さん!」
「残念ですが、あなたの相手は私ではありません」
「はぁ!?………ッ」
遠方から、しかしその巨体にとっては近距離からの攻撃が来る。
「吹ッ飛べ!G・ワイドブラスター!!」

大質量ビーム砲撃。威力は高く遠距離も対応可能な、機体の本来の使い道たりえる砲撃。当然、当たれば……堕ちる。
「うおっと………!」
今度はガウルンが間一発で回避した。撃った方向には……巨大な「盾」が一体。
「コスモ様、ご支援感謝いたします」
「……それよりあいつは!?ギャリソンさん、戦況を!」
「エネミー1、フレンド2、アナザー1ですな。敵機は格闘戦機体のようですが、ただの機体ではございませぬ。
私の機体の砲撃をほぼダメージ無しで切り抜けてございます。アナザー1は味方と解釈してもよろしいでしょうが、小型ですので支援優先かと」
「……了解!」
ギャリソンから戦況の報告を聞いたコスモ………ユウキ・コスモは、
ジガンスクード・ドゥロの両腕に装備されていた巨大なアンカーのような武器を打ち鳴らした。


――金髪お嬢と執事とアフロ――



「確かに………」
戦況は不利。
敵は小型機1体、砲撃戦型機1体、特機が1体の計三体。
このマスターガンダムでも持つか解らない。しかも……
「ッ……ぐ……」
体を蝕む病……全身に転移した癌の激痛。モビルトレースシステムは体を激しく動かすため、一度止まると厳しい痛みが走る。
「………ククク」
ここは………


「逃げますかな?」
「あばよ!後からまた狩ってやるぜぇ!」
マスターガンダムは機動兵器とは思えない機動で撤退していった。
(退いた……か)
緊張か放たれたカテジナは、体の放熱をするため、ライダースーツのファスナーにてをかけ、胸もとギリギリまでおろした。
フルフェイスヘルメットを取り、長い髪を解放する。
「ふぅ………ありがとう。ギャリソンさん、と言ったかしら?」
「ああ、お嬢様。私のことはギャリソンと呼んでいただければ結構です」
「で………あなたたちは?」


「……そう」
「特に目的は無いって所ですな」
一通り自己紹介をして、互いの状況を話し合う。
「アンタは?」
「私も……知った人は居なかったから」
「そうか……」
ギャリソンは、カテジナが髪を掻き上げる仕草を見て、感じた。
(お姉さんの魅力、というヤツですかな?)
確かに金髪のお姉さん+ライダースーツという組み合わせは破壊力がある。
「じゃあ、とりあえずは西にでも行きましょうか」
「あ?いつアンタがついてくるって決まったんだよ」
「うるさいわね。私の機体も一人じゃ何も出来ない。
だから、特機の君が前衛、砲撃機のギャリソンさんが後衛、小型で小回りの利く私が遊撃支援。悪くないチームだと思うけれど?」
「ちょうどいいですな。あとは対空対地支援機でもあればいいのですが」
「……チッ」
決まった。
そして、ここにお嬢と執事とアフロという、なんか割と異質なチームが結成された。


――お嬢と執事とアフロ――



【カテジナ・ルース 搭乗機体:プロトガーランド(メガゾーン23)
 パイロット状況:健康、なんかすごくエロいライダースーツを着ている。
 機体状況:完全無事。バイク形態。
 現在位置:C-5
 第一行動方針:西に行く
 最終行動方針:ゲームから脱出】


【ギャリソン・時田 搭乗機体:ガンダムレオパルドデストロイ(機動戦士ガンダムX)
 パイロット状況:健康
 機体状況:全弾薬の半分近くを消費
 現在位置:C-5
 第一行動方針:西に行く
 最終行動方針:ゲームから脱出】


【ユウキ・コスモ 搭乗機体:ジガンスクード・ドゥロ(スーパーロボット大戦OG2)
 パイロット状況:健康
 機体状況:無事。ENを少し浪費。
 現在位置:C-5
 第一行動方針:西に行く
 最終行動方針:ゲームから脱出】


【ガウルン 搭乗機体:マスターガンダム(機動武闘伝Gガンダム)
 パイロット状況:全身持病の癌の激痛。無理すれば戦闘可能
 機体状況:全身に弾痕あり。装甲がへこんだ程度なので戦闘は支障無し。
 現在位置:B-5
 第一行動方針:物陰で休む
 第二行動方針:近くにいる敵機を攻撃
 最終行動方針:皆殺し】

【初日 14:30】

※マスターガンダムがDG細胞に犯されているかどうかは次以降の書き手に任せます。


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