4話「天駆ける少女」
◆YmyLBuF3ag


見晴らしのいい草原に少女は立っていた。
「また、人が死んだりする戦いなの……?」
先ほどの、女性の首が吹き飛んだ光景を思い出し、少女は首をぶるりとふるわせた。

少しの間呆然としていたようだったが、ようやく回りの様子に気を配る余裕ができてきたらしく、少女はつぶやく。

「何なんだろ、この世界。ものすごく不自然な気がする」
「草も、木もみんなまがい物みたい。生きてる、って気配がしない」
生体エナジーが希薄とでもいうのだろうか。知り合いの天才少年物理学者にでも聞けば何かわかったかもしれない。

「ねえ、君もそう思うでしょ?」
唐突に、宇都宮 比瑪は傍らに立つ身の丈3mは超えようかという…
ロボットに声をかけた。

「って、喋れないか、君」
ちょっと照れたようにつぶやく比瑪。だが、案に反して答えは返ってきた。

「ラーサー」
やや間延びした、だが確かな返答。

「君、喋れるんだ!」
「ラーサー」
「すごいよ君! 突然こんなことになって、ちょっと不安だったけど。うん、一緒にがんばろう!」
「ラーサー」
何げに会話が成立しているのがすごい。

比瑪はなによりこのロボットと意思が通じ合えたことが嬉しかった。

(あの部屋には依衣子さんがいた、まずは探してみよう。
 そう、誰とだって分かり合えるはず。あのオルファンとだって私たちは分かり合えたんだから!)

「私、宇津宮比瑪。君、お名前は?」
「ワタシハ ペガス ラーサー ヒメ」
「よろしくね、ペガス!」

【宇都宮比瑪 搭乗機体:ぺガス(宇宙の騎士テッカマンブレード)
 パイロット状況:良好
 機体状況:良好
 現在位置:C-3
 第一行動方針:依衣子(クインシィ・イッサー)を探す
 最終行動方針:主催者と話し合う】

【時刻:12:30】


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