76話B「血に飢えた獣達の晩餐」
◆Nr7qwL8XuU
D-7地区で行われた激しい戦闘がひとまずの終局を迎えてから約十分後、そこに佇む巨大な戦艦と一つの人型機動兵器の姿があった。
「すまない。手伝わせてしまって・・・」
補給を終えた凰牙を起動させながらロジャーはユリカに礼を言う。
「いえ。このくらいのことは当然です。残りのデンドー電池は私のほうで預かっておきますので」
「感謝する、ユリカ嬢。それで君はこれからどうするつもりかね?」
「ひとまずは補給ポイントでア・・・・・・ガイさんの帰還を待ちます。ロジャーさんはやっぱり・・・」
「あぁ・・・、奴を追う。放送時間が迫っている今ならば追いつきクライアントと助けるチャンスもあるはずだ」
そういってサングラスをかけ、その表情を隠した。そこに存在するもう一つの―――リリーナの死の可能性にはあえて触れなかった。
「では時間もない。私は行かせていただこう。また会えるときを楽しみにしているよ」
そういって予備のデンドー電池を手に取り、付近刺さっていた巨大な槍を持ち上げる。
そして、眼前を睨みすえるとテッカマンが消えた方向に向かって去っていった。
まだ太陽が空に残る夕方、大気との摩擦で青白く光る二機の機体は、さながら蒼い流星の如くD-7市街地上空から西北西に伸びっていった。
「馬・・・鹿な・・・貴様、死ぬ気・・・かぁあ゛」
その凄まじいGのかかるコックピットの中で竜馬がやっとの思いで声を振り絞る。
例え機体は無事でもすでに人体が耐えることのできる速度ではなかった。
それはゲッターのパイロットとして鍛えられた竜馬とて例外ではない。そして、無論アキトも無事ではいられない。
二人の腹は想像を絶するGで窪み、皮膚は波打ちその表面には血管がくっきりと浮かび上がっている。
そして、答えを返そうとしたアキトの口から鮮血が飛び散り、彼の意識は閉ざされた。
そのアキトの様子にいずれ自分もと判断した竜馬は、重くなった両手を動かすとYF-21の機首を掴む。
「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
そして果てしなく重くなったそれから逃れようと力を振り絞り、抜け出した。
蒼い流星が二つに分裂し、大きい欠片は木々をなぎ倒し森林に堕ち、小さい欠片はその光をたたえたまま大空に舞い上がり雲の狭間に消えていった。
コックピットのハッチに指がかかり、力が加わる。そして金属が悲鳴を上げて引きちぎられ強引に抉じ開けられた。その力が明らかに目の前の者が人ではないことを物語っていた。
嫌な汗が背を伝って落ちる。体が小刻みに震えてとまらない。悲鳴は喉を鳴らし、口をついて出て行こうとする。
しかし、気丈にもその悲鳴を喉元で押し殺し、強い意志の光をその瞳にたたえ、リリーナは目の前の参加者に毅然と向かい合った。
「私は地球圏統一国家外務次官リリーナ・ドーリアンです。あなたとの話し合いをの――」
そこで言葉は途切れ、その続きが紡がれることは二度となかった。
ゴトリ
音をたてて胴から切り離された頭が床に落ちる。続けて残った胴体も崩れ落ちた。血が床に撒き散らされ赤い花が咲いた。
だが、その様子にまったく気をとめる様子もなく彼――相羽シンヤは目的の食料を見つけると冷たい笑みをこぼす。そして、テックセットを解くと食料を貪り始めた。
【相羽 シンヤ(テッカマンエビル) 搭乗機体:無し
パイロット状況:テッカマン形態、PSYボルテッカ使用により疲労、空腹解消
機体状況:機体なし
現在位置:D-8市街地
第一行動方針:竜馬を殺す
第二行動方針:ロジャーを殺す
第三行動方針:機体の確保
第四行動方針:十分な食料の確保
第五行動方針:他の参加者を全滅させる
最終行動方針:元の世界に帰る
備考:テックシステムの使用はカロリーを大量に消費】
【ロジャー・スミス 登場機体:騎士凰牙(GEAR戦士電童)
パイロット状態:若干体力消耗
機体状態:左腕喪失、右の角喪失、右足にダメージ(タービン回転不可能)、EN満タン
現在位置:D-7市街地
第一行動方針:リリーナの救出
第二行動方針:リリーナを護りながら、参加者へ彼女の完全平和主義を説く
最終行動方針:依頼の遂行(ネゴシエイトに値しない相手は拳で解決、でも出来る限りは平和的に交渉)
備考1:凰牙は通常の補給ポイントではEN回復不可能。EN回復はヴァルハラのハイパーデンドーデンチでのみ可能
備考2:念のためハイパーデンドー電池二本(補給一回分)携帯
備考3:ドスハードの槍も携帯】
【流
竜馬 搭乗機体:大雷鳳(バンプレストオリジナル)
パイロット状態:衰弱
機体状態:装甲表面に多数の微細な傷、頭部喪失、右肩外部装甲損壊
、腹部装甲にヒビ、胸部装甲に凹み
現在位置:B-6森林
第一行動方針:サーチアンドデストロイ
最終行動方針:ゲームで勝つ】
【ミスマル・ユリカ 登場機体:無敵戦艦ダイ(ゲッターロボ!)
パイロット状態:良好
機体状態:大砲一門破損、左前足損傷、腹部装甲損壊、大砲を一発消費
現在位置:D-7補給施設
第一行動方針:ガイ(アキト)を補給施設で待つ
第二行動方針:補給施設を占拠して仲間を集める
第三行動方針:ガイの顔を見たい
最終行動方針:ゲームからの脱出
備考1:YF-21のパイロットがアキトだと知りませんが、もしかしたらとは思っています
アキトの名前はガイだと思っていますが若干の疑問もあります
備考2:ハイパーデンドー電池8本(補給4回分)回収】
【リリーナ・ドーリアン 登場機体:セルブースターヴァルハラ(GEAR戦士電童)
パイロット状態:死亡(頭部切断)
機体状態:バラバラ。コックピットのみ 】
【初日 17:40】
高高度に摩擦熱で焼け焦げた戦闘機の姿があった。そして、その焼け焦げたYF-21の中、アキトは生きていた。
大雷凰という大質量の重りがついていたことでYF-21のハイ・マニューバ・モードはその本来の速度まで達することができなかった。
そして、アキトが意識を失った時点からBDIシステムはダウン。機体は失速をはじめ、やがてエンジンは停止し、風に乗って高高度に舞い上がったのだった。
うっすらとその瞼が開く。アキトの目には眼下に大きく広がる雲海とそこに傾いていく太陽が映し出されていた。
そしてほぼ同時刻、すでに人の去ったD-7の戦場後の瓦礫が動き一つの人影がひょっこりと姿を現した。
「まったく。そろいもそろって私を忘れて行くなんて一体どういうつもりなのよーーーーーーーー!!!」
一人寂しく廃墟にその叫びは木霊していった。
【テンカワ・アキト 登場機体:YF-21(マクロスプラス)
パイロット状態:衰弱(大)
機体状態:両手両足喪失、全身に損傷、マイクロミサイル残弾0、ガトリンクガンポッド残りわずか、EN残り20%
現在位置:A-6東部高高度
第一行動方針:機体の補給
第二行動方針:無敵戦艦ダイに帰還
第三行動方針:ユリカを護る(そのためには自分が犠牲になってもかまわない)
最終行動方針:ユリカを元の世界に帰す(そのためには手段は問わない)
備考:脚部はD-7市街地に落ちているので回収できたらつけられるかも(?)】
【ソシエ・ハイム 搭乗機体:機鋼戦士ドスハード(戦国魔神ゴーショーグン)
パイロット状況:なんでみんな私を忘れていくのよーーーーー!!(機体がガンダム系だと勘違いしています)
機体状況:だるま(両腕両足損失)(AIは取り外され、コクピットが設置されています)
現在位置:D-7市街地
第一行動方針:新しい機体が欲しい
第二行動方針:仲間を集める
最終行動方針:主催者を倒す】
【残り45人】
【初日 17:55】
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