Scenario IF 17話(86話 another side) 「少年の決意」 189
2スレ目の153を見た瞬間、思わず書いてしまった。反省はしていない。
『アー、アー、ただいまマイクのテスト中ですの。…こほん…
最初の定時連絡の時間となったので放送を始めますの。
まずは死んでしまった人たちの報告からですの…』
…エクセレン=ブロウニング
…メルア=メルナ=メイア
…グ=ランドン・ゴーツ
…ラクス=クライン
戦闘を乗り切り、一息入れられると思った矢先に、
彼にとって最悪の事実が伝えられた。
簡単に予想される事だった。彼女はこのような馬鹿げた話に
乗るような人間では無い。むしろ、平和的解決のために、動くであろう
事は最初から分かっていた。そして、考えたくも無い事ではあるが、
ゲームに乗った人間からすれば彼女は格好の的だ。
そして、最悪の予想が現実となった。
声も出ないし、涙も出ない。悲しみ、そして怒りが大きすぎて
心がフリーズしているような感覚だった。心の自衛機能が働いているのだろうか。
そんなどうでもいい事を考えている所に、更に言葉は続く。
『乗らない方もいますのでやる気を出してもらうために
ご褒美のことを説明いたしますの。ご褒美は、死んでしまった方を生き返らす
ことから世界の改変まで望むがままですの。なので、みなさんちゃきちゃき頑張って欲しいですの』
死人の復活は元より世界の改変も可能……
彼女はそう言った。
例えば、トール、フレイ、ムウさん、自分達を逃がすために死んで行った第7艦隊の人たち、
フレイのお父さんたち、シャトルの避難民の人たち……
いや、世界の改変と言うのならそもそも戦争の原因となった血のバレンタインすら
防ぐ事も出来るじゃないか。そうだ。全てはあれが原因だ。
友人と銃を向け合い、それぞれの友を奪って殺しあって、大切な人たちを失って……
それだけの血を流し、多くの物を失いながらも、また銃を向け合おうとする者は消えず、
近い内に再び戦争が起きるかもしれない明日に脅える……そんな世界を変えられると言うのか?
そう考えるなら確かに魅力的な話ではある。だが、このゲームに乗るという選択肢は
ラクスへの裏切りになるのではないだろうか?
いや、待て。彼女は「願いは一つ」とは言ってない。
ならばこのゲームの参加者全てを生き返らせ、然る後に世界の改変を
願えばいい。そうすれば、全て大丈夫。誰も死なない。
その先には誰も死なない世界を作り出せる。
いや、それだけでは駄目だ。自分の機体、ジョナサンの機体、他の参加者の機体を
見る限り、未来、もしくは違う世界の技術を使ったとしか思えないような機体ばかりだ。
つまり、それはこのゲームの主催者が時を超えるどころか、時空すら超える力を有している事をも証明しているのでは?
だったら………用済みになったら主催者も殺さないといけないんだ。
そうだ。あんな危険な存在が許される筈が無い。もし、このゲームが終わっても、
また同じ事を繰り返さない保障は無い。それに、ラクスが死んだのは誰のせいだ?
言うまでも無い。僕達をこんな狂った戦いに巻き込んだ主催者だ。
人を殺すのは嫌いだ。だけど、アレは人じゃない。只の化け物だ。
なら、殺した所で罪になる事も無い。
だから覚悟を決める。再びこの手で他人の命を奪うという覚悟を。
横には、気絶したジョナサンが乗るJアークがいる。その気になればすぐに
殺せるが、それにはまだ早い。確かに自分の乗る機体は悪くは無い。
だが、こんな状況なら仲間を集めようとする人間はいくらでもいる。
自分だってそうした。エネルギーを気にせずに戦えるフリーダムならともかく、
この機体は補給も必要だ。徒党を組んだ相手を敵にするなら、こちらも
徒党を組む方が効率的であるのは明白。利用するだけ利用して、
最後の最後に裏切ればいい。
そうさ、僕は辿り着く。誰も成し得なかった本当の平和な世界を築く存在に
僕は………新世界の神になる!
【キラ・ヤマト 搭乗機体:ガンダムF−91(
機動戦士ガンダムF−91)
パイロット状態:良好
機体状態:良好
現在位置:C-5
第一行動方針:ジョナサンの回復を待ち、信用を得る
第二行動方針:役に立ちそうな手駒を集める
最終行動方針:優勝し、願いを叶えた後用済みになった主催者を排除し、新世界の神となる】
【ジョナサン・グレーン 搭乗機体:Jアーク(勇者王ガオガイガー)
パイロット状態:気絶中
機体状態:キングジェイダーへの変形は不可、左舷損傷軽微
現在位置:C-5
第一行動方針:クインシィの捜索
第二行動方針:キラが同行に値する人間か、品定めする
最終行動方針:クインシィをオルファンに帰還させる(死亡した場合は自身の生還を最優先)】