Scenario IF 19話(86話 another side) 「キラ」 ◆vQm.UvVUE.
どこからともなく殺し合いの場に似つかわしくない声が聞こえてきた。
『アー、アー、ただいまマイクのテスト中ですの。…こほん…最初の定時連絡の時間となったので放送を
始めますの。まずは死んでしまった人たちの報告からですの…』
…エクセレン=ブロウニング
…メルア=メルナ=メイア
…グ=ランドン・ゴーツ
…ラクス=クライン
気絶したジョナサンをつれて、
なんとか補給ポイントに辿り着き一息ついたキラに待っていたのは信じたくない現実だった。
ラクス=クライン、彼がよく知る少女。
恋人、そう言える関係だったかもしれない少女。
無論、考えられる事ではあった。
こんなところで死んでいい人じゃなかった。
彼女はここでは明らかに無力だ。
最初に会った人間がもしもゲームに乗っていたなら、彼女は格好の的だっただろう。
分かっていたはずだった。
乗らない方もいますのでやる気を出してもらうために
ご褒美のことを説明いたしますの。ご褒美は、死んでしまった方を生き返らすことから世界の改変まで
望むがままですの。なので、みなさんちゃきちゃき頑張って欲しいですの』
「え?」
今の放送はなんと言ったか。
死んでしまった者を生き返らせる。世界の改変?
ラクスを、そしてフレイを思い出す。
もしも自分が優勝したのなら・・・・・・
ラクスやフレイを生き返らせ・・・そして彼女達に戦争の無い平和な世界を見せてあげられる。
彼女達の父親だって生き返らせてあげられる、ついでにトールも。
「・・・・・・でも」
だからといって、自分がこのゲームに乗ってラクスのような力のない人達を殺して、
それでラクスが生き返っても彼女は喜ぶだろうか。
いや、大丈夫だ、自分が優勝したらここで死んだ人達も生き返らせればいい。
そして、争いや犯罪の無い平和な世界を作るんだ!
気絶しているジョナサンを横目に見る。
今なら簡単に・・・
そう思ったが止めた。
流石にここでたった一人で最後まで生き残るのは不可能だろう。
幸い、ジョナサンは気絶していてこの優勝商品を知らない。
だったら最後まで付き合い、最後の最後で不意をつけばいい。
大丈夫だ、すぐに生き返らせられる。
そうだ、先程闘った、あのもう一つの戦艦も利用できるかもしれない。
「ラクス、待っていてね、僕がすぐに生き返らせてあげるから」
キラは気付かない、自分の思考がラクスの死によって狂っている事を。
その証拠に彼はラクスの死に涙を流す事も悲しむ事もしてないのだから。
【キラ・ヤマト 搭乗機体:ガンダムF−91( 機動戦士ガンダムF−91)
パイロット状態:良好
機体状態:良好
現在位置:C-5
第一行動方針:ジョナサンの信用を得る
第二行動方針:なるべく使えそうな駒は残し、危険そうなのは排除したい
最終行動方針:勝ち残り、皆を生き返らせ平和な世界を作る】
【ジョナサン・グレーン 搭乗機体:Jアーク(勇者王ガオガイガー)
パイロット状態:気絶中
機体状態:キングジェイダーへの変形は不可、左舷損傷軽微
現在位置:C-5
第一行動方針:クインシィの捜索
第二行動方針:キラが同行に値する人間か、品定めする
最終行動方針:クインシィをオルファンに帰還させる(死亡した場合は自身の生還を最優先)】