24話 「人間様をなめるなよ」 ◆crnnAi5R12
「クズめ!」
コックピットを殴りつけ、神
隼人は頭を冷やす。
ついさっき起こった出来事は、恐竜帝国と戦い死んでいった、武蔵の事を思い起こさせるに十分だった。
「化物が……人間に歯向かってただで済むと思うな」
敵討ちをしよう。
知らない女だけではない。この馬鹿げたゲームに集められ、そして死んでゆく全ての人の。
その為には戦力が要る。皮肉なことに、その戦力は化物に与えられたものだが。
まずは自分の手を確認しよう。そう思い、隼人は期待の説明書を読み始めた。
「YF-19、か」
説明書を読み終わり、確認するように機体の名を呼ぶ。
自分は中々いい機体を引いたらしい。
大気圏内巡航速度はマッハ5、ピンポイントバリアという防御装置に加え、多数のミサイルを持ち、ステルス機能まで有している。
「物凄い戦闘機だ。変形まで出来るのか……」
それに加え、最大の特徴は、フォールドシステム。要するにワープが可能という超高性能機だ。
素晴らしい。出来るのなら分解して新しいゲッターの研究に役立てたい機能だ。しかし、それは元の世界に帰れればの話。
今は、主催者を殺すことを第一に考えなければ。
「この身体さえ万全なら、お前を完璧に扱ってやれるんだがな……」
自分の体を蝕んでいる古傷は深刻だ。
VF-19の運動能力は素晴らしい。恐らくこのゲーム一、二を争うことだろう。
しかし、余り激しい機動をしたり、大きなダメージを負ってしまうと、自分の方が先にくたばってしまう。
単独での戦闘は、自分の身体では無理がある。
となると、同じ志のものと組むしかない。
単独の者と手を組む。これはだめだ。相手がゲームに乗った奴だった場合のリスクが大きい。
相手から持ちかけられでもしない限り、此方からの接触は避ける。
やはり二人以上の組と接触するべきか。仮に本性を隠したケダモノが潜んでいても、二対一ならそうそうやられはしない。
「俺はボインちゃんが好きなんでな……敵は討たせてもらう。化物め」
その言葉を宣戦布告とし、彼は翼を天へと向けた。
【神
隼人 搭乗機体:YF-19(マクロスプラス)
パイロット状況:良好(但し、激しい運動は危険)
機体状況:良好
現在位置:H-4
第一行動方針:高高度からの、地上偵察。
第二行動方針:二人以上の組との合流(相手が一人の場合、少なくとも自分から接触する気はない)
最終行動方針:主催者を殺す】
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