38話 「そして騎士は走り出す」 ◆OBzaXJXIWo
「行ったか…………?」
統夜は、独りきりのコクピットでごちた。
白い、格闘戦主体と思われる機体………飛行せずとも、岩場を跳躍のみで駆け抜けた機体が北へ行ったのを見届けると、
暗黒騎士─ヴァイサーガは岩陰から立ち上がった。
「さっきの機体は───」
この機体に比べれば随分と小型だった。しかし──跳躍等、見た目からではそのポテンシャルははかりしれない。
(懐に入られでもしたら、ひとたまりもないな)
機体の大きさはこちらの方が断然だった。しかし──小さい敵は小回りがきくのだ。
(偵察中に不利な相手を発見したら、無理せずやり過ごす。───だったっけか)
三人娘の誰だったか──戦術に関しての講義がこんなところで役立つとは。
「さて………」
統夜は、一度ぐるりと周囲を見渡した。
(………北はさっきのヤツ………東は少し岩場が続いてるから、岩陰に隠れられたりしたら戦闘しづらい………南か、西か………
そういやフィールドの端っこってどうなってるんだ?………こう考えると確認すべきことは山ほどあるな。今出来ることは今やる、か。………よし)
「………南、かな」
統夜は、ヴァイサーガの進路を南へと向け、真紅のマントを翻し、岩場の間をすり抜けて走りだした。
【紫雲
統夜 搭乗機体:ヴァイサーガ
(スーパーロボット大戦A)
パイロット状況:健康
機体状況:無傷
現在位置:A-8→A-1へ移動中
第一行動方針:南に行く
第二行動方針:敵を殺す
最終行動方針:ゲームに優勝する】
【時刻:14:00】
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