63話  「出会いと再会」  ◆caxMcNfNrg


「ふむ、左腕は完全に持っていかれたか・・・」
 真紅の機体を見上げながら、男が一人ごちる。
ここは風雨に晒され、朽ち果て打ち捨てられたコンクリートの森林。
その狭間に存在する、明らかに異質な施設の影に思案に耽るユーゼスの姿があった。
(・・・補給は弾丸やエネルギーのみで、破損箇所の修復はない。
 やはり、そこまでは甘くは無いか・・・まあ、私が主催者だとしても、修復は認めんな)
アルトのコクピットに乗り込みながら、思案をめぐらせる。
その表情は、仮面に隠されてはいたが・・・愉快という雰囲気ではなかった。

 獅子の相貌をもった悪鬼を退けたベガとユーゼスの二人は、廃墟にある補給施設へと舞い戻っていた。
目的はローズセラヴィーの補給とアルトアイゼンの修復。そして、二人の休息。
 ベガの言によると、ローズセラヴィーにはエネルギー充填システム、
通称『月の子』が搭載されているが、それは一回のみの使い捨てであり・・・
それならば、今の状況では装置を使わず補給施設を使用するというのが、二人の出した見解だった。
 そして、もう一つの目的は・・・

『どう?修理の目処はつきそうかしら?』
 見張りに立っていたベガから通信が入る。
「無理だな。軽い破損ならともかく、腕のパーツ自体を失っている。修理は諦めた方が無難・・・」
 ユーゼスがそう言うのと、ほぼ同時に・・・アルトのレーダーが警告音を発した。
「ベガ殿」
『こちらも確認したわ、相手は一機だけのようね』
「うむ、私もすぐに合流しよう」
 そう言うと共に、ユーゼスは真紅の機体を起動させた。


「大型の機体・・・おそらく、特機タイプか」
 空を駆けるファルケンのシートで、キョウスケはそう呟いた。
相手が乗った人間か否か・・・それを見極めるようと、通信機器に手を伸ばす。
と・・・キョウスケが通信をいれるよりも早く、相手の側に新たな機体が現れる。
それは、彼が良く見知った機体だった・・・
「あれは、アルト・・・?」
 軽い驚愕と違和感。それと同時に、相手からの通信が入る。
通信機からは、敵意が無いことを伝える女性の声が流れ始めていた。


【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:アルトアイゼン(スーパーロボット大戦INPACT)
 パイロット状態:良好(修理できなくて困ってるのも私だ)
 機体状態:左腕損失、ダメージ蓄積
 現在位置:D-4廃墟、補給施設付近
 第一行動方針:目の前の機体との接触
 第二行動方針:首輪の解除
 最終行動方針:主催者の超技術を奪い、神への階段を上る】

【ベガ 搭乗機体:月のローズセラヴィー(冥王計画ゼオライマー)
 パイロット状態:良好(ユーゼスを信頼)
 機体状態:良好
 現在位置:D-4廃墟、補給施設付近
 第一行動方針:目の前の機体との接触
 第二行動方針:首輪の解析
 最終行動方針:仲間を集めてゲームから脱出
 ※月の子は必要に迫られるまで使用しません】

【キョウスケ・ナンブ 搭乗機体:ビルトファルケン(L) (スーパーロボット大戦 OG2)
 パイロット状況:良好(意外な再会に驚き)
 機体状況:ブーストハンマー所持
      スプリットミサイル数発消費、オクスタンライフルを半分程消費
 現在位置:D-4廃墟、補給施設付近
 第一行動方針:目の前の機体との接触
 第二行動方針:ネゴシエイターと接触する
 第三行動方針:信頼できる仲間を集める
 最終行動方針:主催者打倒、エクセレンを迎えに行く(自殺?)
 ※アルトがリーゼじゃないことに少しの違和感を感じています】

【初日 16:00】


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