7話  「仮面の舞踏会」  ◆caxMcNfNrg


立ち並ぶ廃墟の間に、赤い巨人の姿があった。
大地に膝をつき、頭部の角を前方に向けた鋼鉄の巨人。
その隣で一人、仮面をつけた男が思案に耽っている。
 白を基調にした厚い布地の衣服に、頭部全面を覆う仮面。
明らかに場違いな格好をした彼の名は、ユーゼス=ゴッツォ。
バルマー帝国第七艦隊の副司令官・・・いや、実質上の支配者である男である。
・・・もっとも、リュウセイ・ダテを始めとするSRXチームや、
優秀なサイコ・ドライバーである彼等を中核としたαナンバーズ、
そして己が分身である、イングラム・プリスケンの手によって、
彼の野望は、その身と共に潰えたはずであった・・・

(そうだ、確かにあの時、我が身は因果地平の彼方へと消え去ったはずだ・・・)

だが、こうして五体満足で存在している。
・・・殺し合いという、腹立たしいゲームの盤上ではあるが。

(主催者・・・レジセイアといったか・・・の見せた力・・・
 そして、勝者に与えられるという、自らの望む世界・・・
 もしや、あれはアカシック・レコードの・・・ならば、あの怨念も・・・)

「・・・どちらにしろ、ここで滅するわけにもいくまい」
 ユーゼスの小さな声が、仮面に遮られ虚空に消える。
「そうだ、この身が現世にあるのだ・・・私は滅びぬ!
 イングラムよ、三度目の邂逅は近いぞ・・・!」
 その言葉と共にユーゼスは、自らの隣にある赤色の巨人を見上げる。
PTX-003C――『古い鉄』という、不名誉な名を与えられた機体を・・・

「ふむ・・・射程距離に不安が残るが・・・まあよいだろう」
 アルトアイゼンに近づきながら、ユーゼスは仮面の下で笑みを浮かべる。
「私の念動力で補えば、充分に生き残れ・・・」


 不意に・・・上空からの日差しが途絶え、ユーゼスの言葉は途切れた。
仮面の下の笑みを凍りつかせ、ゆっくりと振り返る。

 そこには自らの機体の、ゆうに二倍以上はあろうかという巨人が佇んでいた。


「・・・答えてください、貴方はこのゲームに乗っているんですか?」
 目の前の機体から響く女性の声に、ユーゼスは即答した。
「このゲームを壊そうとしているのも私だ」



【ユーゼス=ゴッツォ 搭乗機体:アルトアイゼン(スーパーロボット大戦IMPACT)
 パイロット状況:良好(ちょっと驚いたのも私だ)
 機体状況:良好
 現在位置:D-4
 第一行動方針:目の前の女性(ベガ)と会話
 最終行動方針:生き残る】

【ベガ 搭乗機体:月のローズセラヴィー(冥王計画ゼオライマー)
 パイロット状況:良好
 機体状況:良好(ビットも健在)
 現在位置:D-4
 第一行動方針:目の前の人物(ユーゼス)と会話
 最終行動方針:仲間を集めて、ゲームから脱出】

【初日 12:30】


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