77話  「彼らの乗機は強力です」  ◆OWmug8uCw


「見つかりませんね」
「ふん、あの御転婆がそう簡単にみつかるものかよ」
D-3の市街地に向かってゆったりと白亜の戦艦が進んでいた。
(探しているのはクインシィさんだけじゃないんだけどな)
その上に乗る白いMSの中で少年はひっそりと溜息をついた。
(ラクスは大丈夫かな?)
想い人の姿を脳裏に浮かべる。彼女は戦えない人間であり一刻も早く見つけねばならない。
そう想い、キラはもう少し急いでほしい旨をジョナサンに伝えようとした。
『機影発見』
だが、その前に進行方向にこちらと同じ白亜の戦艦と赤と白の機動兵器らしき機体を発見した。
「おい、トモロ!本当に大丈夫なんだろうな、向こうはこちらよりも大きいぞ!!」
『舐めるなと言った。だが、敵の艦は反応からして相転移エンジンを積んでいるようだ。
 少しまずいかもしれん』
「二人共戦うことばかり考えてはいけません!話し合えば分かってもらえるはずです!!」
とは言ったもののトモロの言葉を信じるなら実用すらされていない相転移炉を使った戦艦
の火力はこちらの攻撃力をはるかに超えることが予測されるためキラは内心では恐怖を感じていたが。
「おい、トモロ!相転移エンジンとは何だ!?」
『学の無いやつには無用の長物だ』
「なんだと!!」
「二人とも喧嘩してる場…」
『――ら機―――ナデ――応答―――す』
言い争いをしていると向こうから女性らしき声で通信が入った。いきなり攻撃してこないところを
見ると乗ってはいないと判断し接触を試みようと考える。

「二人共もう少し接近してみましょう」
「ああ!!なんでそんなことをしなきゃならんのだ」
『まず対話を試みている様子から考えると、いきなり攻撃を仕掛けてくる馬鹿と違って向こうは友好的
 なようだ。知り合いを探すためにも交渉の場を持ってもよいと思われるがな』
「っち!!まあいいだろう、この艦がへっぽこでなければそう簡単には落ちんようだしな!!」
そうしてJアークは白亜の戦艦に近づいていった。


そして二隻は通信可能な距離に入る。
「こちら機動戦艦ナデシコ、ってあなたジョナサン・グレーン!!」
「な!?勇の女か!!」
モニターに映る男女の顔が驚愕に包まれる。
「っち!!撃てトモロ!!あの女は敵だ!!」
『…了解した』
不承不承ながらもトモロは支持に従い二連装反中間子砲を誰も止める間もなくナデシコに向かって撃つ。
「ナデシコのディストーソンフィールドにそんな攻撃が効くかよ!!」
だが、その光線はナデシコに当たる寸前に空間が歪んだと思うと簡単に反らされた。
「っち!!バリアか?!」
「ジョナサンさん!いきなり攻撃するなんて!!」
「ああん?向こうは敵なんだよ!だったら倒すべきだ!!」
『二人共言い争いをしている場合ではないぞ。機動兵器二機接近』
二人が言い争いを止めモニターを見ると赤と白の機動兵器が近づいてくるのが確認できた。
「待って下さい!!僕たちは争う気は無いんです!!」
「残念だが賽は投げられた」
「彼女の頼みで生け捕りにはしてあげるから安心しなよ」
「ああ!!この俺様を舐めるな!!死ねよやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

二機に向かってJアークの多数の火砲が唸る。だがその巨躯からは信じられないほどの機動性で
弾幕をあっさり回避し上空で赤と白の機体が交差する。

「ガドル!!!」「…ばいくらん」

男の激しい掛け声と弱そうな相槌により赤の機体がバラバラになり白の機体の各部に取り付いた。
「な!合体した?!」
「驚いたところでもう遅い!喰らいたまえ!!!」
ガドル・ヴァイクランからエネルギーの放電現象が起きる。

「アルス・マグナ・フルヴァン!!!」「あるすまぐなふるばん」

そして二人の声が唱和するとガドル・ヴァイクランからエネルギー波が放たれた。
キラはF91の機動性を生かしそれを回避したがJアークはその巨躯ゆえに避けることも適わず直撃した。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
爆発音と共にその場に爆煙が巻き起こる。
「ジョナサンさん!!」
「ちょっと!!あんなのでもアノーア艦長の子供なんだから殺さないように言ったのに!!」
「安心したまえ、出力は抑えた。にしてもオルバよ、声に覇気が足りんぞ」
「スーパーロボットは叫びに魂が篭らないと本当の力は発揮できないんだぜ」
「…善処するよ兄さん」


だが、爆煙の中からガドル・ヴァイクランに向かってビームが放たれる。
「うお?!」「なっ?!」
それは念動フィールドにより防がれたが衝撃で合体が解除される。
「ふざけるなよ!!この程度で沈むか!!」
煙の中から無傷のJアークがナデシコとヴァイクラン達に弾幕を張りながら現われた。
「ジョナサンさん!!無事でしたか?!」
「何をしている!お前もとっとと応戦しろ!!」
そう言われキラは戸惑った。彼らは殺し合いに乗っているようではなくジョナサンが怒り狂っている現状では
ジョナサンにつけば彼らと友好的な関係は結べず、彼らにつけばジョナサンとは敵対することに
なるからである。そう思っていると重力波がJアークの左舷を掠め船体を振るわせた。
「ジョナサンさん!!」
『奴は今のでコンソールに頭をぶつけて気絶した』
キラの言葉にトモロが代わりに返答した。この場を取り纏めるチャンスである。
「……トモロさん!後退してください!!」
だが、キラはあっさりそれを放棄した。ここで勝手に彼らと交渉してはジョナサンに対する裏切りと
思えたからだ。そうして撤退するJアークと赤と白のロボットの間に割り込む。

「残念だが」「逃がさないよ」

再び二機が合体しこちらに襲い掛かろうとする。
だが、キラは合体の瞬間を狙ってマシンキャノン、バルカン、ビームライフルをガドル・ヴァイクラン
の各パーツに向かって撃ち放つ。
「ばかな!!合体が破られるとは!!」
「……兄さん、……やっぱりMS相手には隙が大きすぎるよ」
F91の攻撃は直撃し二機はバランスを崩し地表に落ちていく。
「逃がさねえ!ミサイル発射!!」
だが、キラがJアークを追おうとしたところにミサイル群が追ってくる。
なんなく撃ち落し、攻撃をかわしながら逃げようとしたが追撃はされなかった。
彼は知らないことだがジョナサン達を殺したくないヒメが甲児にこれ以上の追撃をしないよう
に頼んだために攻撃が止んだのである。
キラはそのことは知らなかったが向こうは決して話し合いの通用しない相手ではないとは思い
その場を後にした。

(でも、あの合体する機体から発せられる邪気はいったい?)
キラは以前にラウル・クルーゼからも感じた、まるでこの世のすべてを滅ぼそうするかの邪気をあの二機からも
僅かにだが感じた。気のせいだとは思いたかったが今は気絶したジョナサンを休ませることが第一だと思い、
不吉な考えを胸にしまい込みトモロと共に休める場所を探すことにした。



【ジョナサン・グレーン 搭乗機体:Jアーク(勇者王ガオガイガー)
 パイロット状態:気絶中 
 機体状態:キングジェイダーへの変形は不可、EN40%消耗、弾薬40%消耗、左舷損傷軽微
 現在位置:D-3
 第一行動方針:クインシィの捜索
 第二行動方針:キラが同行に値する人間か、品定めする
 最終行動方針:クインシィをオルファンに帰還させる(死亡した場合は自身の生還を最優先)】


【キラ・ヤマト 搭乗機体:ガンダムF−91( 機動戦士ガンダムF−91)
 パイロット状態:良好
 機体状態:マシンキャノンとバルカンとビームライフルの弾薬20%消耗 
 現在位置:D-3
 第一行動方針:撤退しジョナサンを休ませる
 第一行動方針:ジョナサンと共にラクス及びクインシィを捜索する
 第二行動方針:ジョナサンの信用を得る
 第三行動方針:ゲームに乗ってない参加者を見つける
 第四行動方針:後でナデシコ組と交渉したいとは考えている
 最終行動方針:なるべく死者を出さずにゲームを止める】
 備考:キラ達が撤退した方向は次の書き手に任せます。


【シャギア・フロスト 搭乗機体:ヴァイクラン(第三次スーパーロボット大戦α)】
 パイロット状態:良好、合体が破られてショックを受けている
 機体状態:EN25%消耗、損傷軽微
 現在位置:D-3
 第一行動方針:ヒメと甲児の信頼を万全のものに
 第二行動方針:ヒメと甲児を利用し、使える人材を集める
 第三行動方針:意に沿わぬ人間は排除
 第四行動方針:首輪の解析
 最終行動方針:オルバと共に生き延びる(自分たち以外はどうなろうと知った事ではない)
 備考:ガドル・ヴァイクランに合体可能(かなりノリノリ)、自分たちの交信能力は隠している。


【オルバ・フロスト搭乗機体:ディバリウム(第三次スーパーロボット大戦α)】
 パイロット状態:良好
 機体状態:EN25%消耗、損傷軽微
 現在位置:D-3
 第一行動指針:ヒメと甲児の信頼を万全のものに
 第二行動方針:ヒメと甲児を利用し、使える人材を集める
 第三行動方針:意に沿わぬ人間は排除
 第四行動指針:首輪の解析
 最終行動指針:シャギアと共に 生き延びる(自分たち以外はどうなろうと知った事ではない)
 備考:ガドルヴァイクランに合体可能(かなり恥ずかしい)、自分たちの交信能力は隠している。


【兜甲児 搭乗機体:ナデシコ(機動戦艦ナデシコ)】
 パイロット状態:良好
 機体状態:EN30%消耗、相転移エンジンによりEN回復中、ミサイル5%消耗
 現在位置:D-3
 第一行動方針:ヒメ・フロスト兄弟と同行
 第二行動方針:ゲームを止めるために仲間を集める
 最終行動方針:アインストたちを倒す


【宇都宮比瑪 搭乗機体:ナデシコ(機動戦艦ナデシコ)】】
 パイロット状態:良好、ナデシコの通信士
 機体状態:EN30%消耗、相転移エンジンによりEN回復中、ミサイル5%消耗
 現在位置:D-3
 第一行動方針:甲児・フロスト兄弟に同行
 第二行動方針:依々子(クインシィ)を探す
 最終行動方針:主催者と話し合う。


【パイロットなし 搭乗機体:ぺガス(宇宙の騎士テッカマンブレード)】
 パイロット状態:パイロットなし
 機体状態:良好、現在ナデシコの格納庫に収容されている
 現在位置:D-3

【初日:17:00】


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