110話B「広がる波紋」
◆960Bruf/Mw


22:05 D-6地区中央岩山麓――

 ユーゼスたちと入れ違いに現れたキラ達は警戒はトモロに任せ、一度バラけて周辺を探索。そして、再び残された機体の近くに集まり、持ち帰った情報を検討していた。
「機体が違う?」
「ああ、あれはカティアの機体じゃねえ。誰かが乗り換えて行っちまったんだ」
 キラのあげた声にムサシが渋った声で返事を返す。
 それを横耳で聞きつつ、栗毛のショートカットの少女は大きく背伸びをして主に捨て置かれた機体を見上げた。
 それは話に聞いていた濃紺の機体ではなく。真っ赤な角の付きのずんぐりとした機体。片腕がなく損傷が酷いため、きっと置いていかれたのだろうと思った。
「しっかし、またえらくボロイの置いていきやがって」
「当たり前だニャ。ボロじゃニャいのをワザワザ置いて行く馬鹿はいないのニャ」
「ちょっと、これから私が乗るのにあんまりボロボロ言わないでよね」
 その一言で場がどよめき、視線が一斉にソシエに集中した。
「な、何よ……」
 思わずしどろもどろになる。
「ああ、すまねえ……って、お前、怪我してんのに乗る気かよ」
「このくらい平気よ。それによく見たら真っ赤で可愛いじゃない」
「そうはいかねえ。こいつには俺が乗る。怪我人なんか乗せられるか」
 元来が勝気なソシエお嬢様は、怪我程度ではひかない。「止めといたほうが無難だ」「マサキに任せろ」という声が盛んに飛んできたが、それでもなお自分が乗ると主張を続ける。
「迷子の挙句、一戦もしないうちに行動不能にしてしまう誰かさんに乗られたら、機械人形もたまったものじゃないわ」
「てめえはそのお陰で助かったんじゃねえか!」
「何よ!!」
「何だよ!!」
 そんなこんなで、マサキとソシエが火花を散らしていたそのときだ。
「そんなことはどうだっていい!!」
 突然、怒気をはらんだ声が飛んできて、二人は思わず首を竦めた。
「カティアの墓を暴いた奴がいる! カティアの首輪を奪った奴がいる!! 私はそいつを絶っ対に許さない!!!」
 恐る恐る振り返ったその先に、肩を怒らせ、拳に力を込め、血走った目をしたテニアの姿があった。
 周囲に重い空気が流れ、全員が押し黙る。
「おい、どういうことか説明しろ。テニアと一緒に墓に行ったんだろ?」
「だから、カティアさんのお墓を掘り返した奴がいるのよ」
「本当かよ、それ」
 コソコソと小声で聞いてくるマサキに、小声でヒソヒソと返す。
 そうこうしている内に重い雰囲気に耐えかねたようにキラが言葉を口を開く。
「テニアが怒るのも分かるけど、手がかりがない以上、考えてもしかたがない。今はとりあえず後回しにしてダイを止めるほうを優先しよう。いいね、テニア」
 途端に鋭い眼光でにらめつけられ、思わず一歩後退さるキラの姿が見えた。
「おいら思うんだが、今カティアの機体に乗っている奴の仕業なのはほぼ間違いないんだから、それが目印になるんじゃないか」
 それまで黙り込んでいた武蔵が割り込む。テニアを除けば唯一カティアと会ったことがあるだけに何か思うところがある、そんな口ぶりだった。
 続いて二三人がポツポツと意見を出すが、結局は行き先が分からない以上、墓荒しは後回しにしてダイを追うということに決まり散会。
 赤毛の少女は怒りを踏みしめるように機体に帰っていき、栗毛の少女はどさくさに紛れて赤い機体をマサキに奪われたことに釈然としない気持ちであった。



【共通認識】
・無敵戦艦ダイ、およびそのパイロットを危険だと判断。
・VF-22を危険だと判断。


【キラ・ヤマト 搭乗機体:Jアーク(勇者王ガオガイガー)
 パイロット状態:良好・ジョナサンへの不信
 機体状態:ジェイダーへの変形は可能?・左舷損傷軽微良好(補給修復開始)
      EN、弾薬共に80%まで回復
 現在位置:D-6
 第一行動方針:ダイを倒す
 第二行動方針:テニアがもしもゲームに乗っていた場合、彼女への処遇
 第三行動方針:このゲームに乗っていない人たちを集める
 最終行動方針:ノイ=レジセイアの撃破、そして脱出】
 備考:Jアークは補給ポイントでの補給不可、毎時当たり若干回復。】


【フェステニア・ミューズ 搭乗機体:ベルゲルミル(ウルズ機)(バンプレストオリジナル)
 パイロット状況:非常に不安定
 機体状況:良好・マニピュレーターに血が微かについている・ガンポッドを装備
 現在位置:D-6
 第一行動方針:どのように行動を取ればうまく周りを騙せるか考察中
 第二行動方針:とりあえずキラ達についていく
 第三行動方針:参加者の殺害
 最終行動方針:優勝
 備考1:武蔵・キラ・マサキ・ソシエ、いずれ殺す気です
 備考2:首輪を所持】


【巴武蔵 搭乗機体:RX-78ガンダム(機動戦士ガンダム)
 パイロット状態:カラ元気でも元気、ダイに対する激しい怒り、VF-22に対する怒り
 機体状況:良好・オプションとしてハイパーハンマーを装備・反応弾を所持
 現在位置:D-6
 第一行動方針:ダイを倒す
 第二行動方針:統夜を探しテニアを守る
 第三行動方針:信頼できる仲間を集める
 最終行動方針:主催者を倒しゲームを止める
 備考1:テニアのことはほとんど警戒していません
 備考2:キラと行動を共にする場合は反応弾を彼に任せてもいいと思っています。】


【マサキ・アンドー 搭乗機体:アルトアイゼン(スーパーロボット大戦IMPACT)
 パイロット状況:良好、シロとクロも健康
 機体状況:左腕損失、ダメージ蓄積 (整備によりやや軽減)
 現在位置:D-6
 第一行動方針:ダイを倒す
 第二行動方針:サイバスターを追いたい
 第三行動方針:サイバスターを邪悪な者には渡さない
 第四行動方針:VF-22を倒す
 第五行動方針:味方を集める
 最終行動方針:ゲームからの脱出またはゲームの破壊
 備考:謎の小石はクロが銜えています。
     地下道はマサキ達が確認できている範囲では一本道です】


【ソシエ・ハイム 搭乗機体:無し
 パイロット状況:右足を骨折、気力回復
 機体状況:
 現在位置:D-6
 第一行動方針:ダイを倒す
 第二行動方針:VF-22を危険視
 第三行動方針:新しい機体が欲しい
 第四行動方針:仲間を集める
 最終行動方針:主催者を倒す
 備考:右足は応急手当済み】

【初日 22:30】


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