142話「ゲッターロボ」
◆ZbL7QonnV.
――“これ”はなんだ!?
『う、おおおおおおおおおおお――――っっっっっ!!』
爆発的な光の奔流に飲み込まれながら、それでもなお流竜馬は死に物狂いで足掻き続けていた。
死んでは、いない。
流竜馬は、生きている。
メディウス・ロクスの内に取り込まれ、ゼストの糧とはなりながらも、その魂は今も生かされ続けていた。
だが、それを知る者は彼自身以外に存在しない。
竜馬を取り込んだユーゼスも、バトルロワイアルの進行を任されているアルフィミィも、流竜馬が生存している事実に気が付いてはいなかった。
だが、それも無理はない。
今の竜馬は、人知を超えた領域――ゲッターの世界と直に繋がっていたのだから。
肉の身体から解き放たれて、意識だけが剥き出しとなった竜馬の魂。
メディウスの内に取り込まれた彼を待ち受けていたのは、やはりメディウスの内に取り込まれていたゲッター線との邂逅だった。
『な、なんだ……!? なんだってんだ、コイツはぁっ!!』
ゲッター線の膨大で圧倒的な力と“意思”が、竜馬の魂に流れ込む。
それは常人ならば一瞬で神経が焼き切れかねない、果てしなき戦いの歴史を綴ったメモリー。
あらゆる次元で繰り広げられてきた激しき闘争の数々。
“この”流竜馬が知るはずのない知識と経験を、竜馬の魂は強制的に見せ付けられていた。
ゲッターロボ。
インベーダーとの決戦。
早乙女ミチルの死。
裏切りの神隼人。
狂気に犯された早乙女博士。
真ドラゴン。
竜馬の記憶に蘇る、かつて竜馬自身が体験した出来事の数々。
そして本来の竜馬が辿るはずだった遙かな未来の出来事までを、ゲッターの意思は竜馬の魂に見せ付けていた。
月面。
ブラックゲッター。
メタルビースト。
ゴウ。
コーウェン。
スティンガー。
木星。
ゲッター太陽。
そして――
恐竜帝国との激闘。
記憶を失くした流竜馬。
たった独りで死地に赴く巴武蔵。
自爆するゲッター1。
ネーサー。
ネオゲッター。
橘翔。
大道凱。
『これは隼人の……“あの”隼人の記憶か!?』
そうだ。
だが、それだけではない。
平安の鬼と戦うゲッターロボがあった。
世界征服を目論む悪の科学者に立ち向かうゲッターロボがあった。
正義の魔神たちと力を合わせて、世界の平和を守り抜かんとするゲッターロボがあった。
巨大な植物で埋め尽くされた世界を駆けるゲッターロボがあった。
かつての宿敵と手を結び、謎の敵と死闘を繰り広げるゲッターロボがあった。
仮面の魔人によって仕組まれた殺し合いの中、真なる力を解放するゲッターロボがあった。
惑星を凌駕してなお余りあるほどの、あまりにも大きすぎるゲッターロボがあった。
『あれ、は……エン、ペ……ラー…………!?』
決して知らないはずの言葉が、竜馬の口から迸る。
いつしかゲッターによる戦いの記憶は様相を変えて、その舞台を宇宙に移し変えていた。
いや、それを戦いと呼んでも良いものか。
あまりにも一方的で圧倒的な破壊と蹂躙が、竜馬の眼前では繰り広げられていた。
宇宙を埋め尽くさんばかりの数を誇る、ゲッターロボの大艦隊。
ゲッターロボの軍勢によって、いくつもの世界が瞬く間に崩壊の時を迎えていく。
それは、決して物の例えではない。
惑星を割り砕き、太陽を消し飛ばし、宇宙を蹂躙する大艦隊。
『これは……なんだ……!? 俺に一体何を見せ付けようっていうんだ……ゲッタァァァァァァァァーーーーーッッッッ!!!』
それが、それこそが、ゲッターロボ――
ゲッターが行き着く、その果てにあるカタチ――
【流 竜馬 搭乗機体:???
パイロット状態:???
機体状況:???】
【二日目……? ?:??】
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