73話「『歌』に振り回される人達」
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B-5の密林に巨大な赤い機体が佇んでいた。
そして、その足元には赤い機動兵器とバイクが密林に隠れるように存在した。
「ち、機体を密林に隠すつもりだったがこれじゃあ、無理だな」
「たしかに、ダイターンよりも少々小さかったので可能だと思われたのですが、無理そう
ですなぁ」
「じゃあ、どうするの?街の方まで移動する?」
三人はあれから当初の予定どうりに二時間ほど飛び続け一旦休息をとるために着陸し
敵襲に備えるために機体を密林の中に隠そうとしたのだがジガンスクードだけが
どうやっても上半身が丸出しになるので考えあぐねていた。
「第一イデオンほどじゃないがこんな機体が密林に隠れられるわけがないんだ。
ギャリソンさんのガンダムでもぎりぎりだしよぉ」
「そうですなぁ、それならばコスモ様は見張りをして私とカテジナ様が機体から降り
休憩を取るということで」
「おい、じいさん!」
「もちろん、30分ごとに交代で次は私の番ということでいかがでしょうか?」
「…分かったよ。それまで、あんた達はティータイムでも楽しんでな」
そうしてコスモが見張りをし、ギャリソンが食事の用意をするために機体から
降りようとすると、
「待って」
カテジナが制止をかけた。
「どうしたんだカテジナ?」
「如何なされましたかカテジナ様?」
「なにか聞こえない?歌みたいなものが」
「歌?そんなもの聞こえませぬが」
「二人とも白い機体がこちらに近づいてくるぞ!」
そのとき、西のほうから猛スピードでやって来る白い機体をコスモが視界に捉えた。
そして、彼らは戦闘体勢を取り近づいてくる機体に対応しようとした。
「こちらはギャリソン。あなた様は殺し合いに乗っておられ…」
「俺の歌を聞けぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
突撃ーーーーーーーーーーーーーラブハーーーーーーーーーーーーートォ!!」
そして、三機の前で白い機体のパイロット、熱気バサラは突然歌いだした。
まさか、三人共襲われるか、もしくは交渉を持ちかけられると思っていたので
彼が歌うのを止めさせるという発想もできず、ただ困惑するばかりである。
そして、しばらく歌い満足したのかバサラは機体を三機の前に着陸させ、
ラーゼフォンのコクピット「奏者の座」から降り、ガーランドに近づいた。
「レックス、まさかお前までこんな所につれて来られてるとは思わなかったぜ」
「レックス?誰よそれは」
「ん?ああ悪い。あいつと同じライダースーツだから間違えちまった」
彼女は知らないことだが支給されたライダースーツはマクロス7内で結成された
暴走族「レックス軍団」のものと同タイプであった。
「失礼しますが、あなた様は殺し合いに乗っておられますかな?」
「ああ!!んなもんくだらねぇ。おれはなあ、熱いハートで止めるつもりだぜ」
「あんた、それはどういうことだ?」
「俺の歌を聞けば分かる。いくぜ、PLANET DANCE!!」
そうして再び歌いだした。


「ほほほ、どうやら乗ってはいないようですな」
「ケッ、歌で殺し合いが止まるかよ」
そのつぶやきはバサラに届かず、歌が終わったころにカテジナが声をかける。
「ねえ、あなたの名前はなんていうの?」
「熱気バサラだ。あんた達は?」
「私はカテジナ。でかいの方に乗ってるのがコスモ。MSの方がギャリソンさん。
にしても、あの白い機体はなかなかよさそうね」
「だろ、俺の最高の相棒だ」
「そう、なら頂くわ」
「あ?」
そうカテジナは呟くとプロトガーランドのアクセルをひねりその場の全員が反応する前に
ラーゼフォンに突っ込みそのままバイクでコクピットまで登り、乗り移った。
「な!?」
「カテジナ様!?」
「手前、俺の相棒に!?」
ガシャンという音を立てながらプロトガーランドが落下すると同時に、ラーゼフォンは
空中へと浮かび上がった。
「ハハハハハハハハ、私が本気でお友達ごっこをするとでも思ったのかい?」
「なぜこんなことをする!カテジナ・ルース!!」
「あいにくと機体が弱かったからあなた達と一緒にいただけ。私には分かるこの機体は
ウッソのV2以上の性能だと。なら、利用できそうもない煮ても焼いても食えないじじいと
馬鹿な男供には用はない。とりあえずはゲームに乗ってやるつもりはないからあんた達で
がんばりな」
彼女にとっては自分以外の存在はあくまで女王マリアの思想を広げるためのものに過ぎず。
そして、強化人間として与えられた感覚によってラーゼフォンの力を見抜き、
都合よくパイロットが降りたため奪取することを決意したのである。
そして、ラーゼフォンは猛スピードで飛び立っていった。


「ち、待てカテジナ・ルース!」
「待ちなされコスモ様、あのスピードではとても」
ギャリソンがそう制止するがジガンスクード・ドゥロはラーゼフォンを追いかけて行った。
「待ちやがれ!泥棒なんざくだらねぇ、俺の歌を聞けぇーーーーーーーーーーー!」
そう叫ぶとバサラもその場に転がっていたプロトガーランドに乗り込み後を追った。
「ふぅ、やれやれでございますなぁ」
そう、ため息をつくとリストビーム砲を右横に向け、そのまま発射した。
そうして着弾箇所が燃え上がる中、一機の黒い機体が現れた。
「ククク、安眠妨害をする奴を殺してやろうかと思っていたら、ちょうど
いいところに先刻の奴らが仲間割れを起こしていてよぅ、一人づつバラしてやろうと
思っていたら、レーダー不調の中どうやって気づいた?じぃ〜さ〜ん」
「ほほほ、万丈様の執事たるもの獣の気配ぐらいは感じ取れなくてはいけませんので」
「ハハハ、そうかい。なら、手前らをぶっ殺してから万丈って奴も殺してやるよ」
そう言いながらマスターガンダムはガウルンの動きをトレースし柔術の構えをとる。
「ならば、世のため、人のため悪の野望を打ち砕くガンダムレオパルドデストロイ!
この火力を恐れぬのならばかかって参られい!!」
その口上と共に戦いの火蓋は切って落とされた。


【カテジナ・ルース 搭乗機体:ラーゼフォン(ラーゼフォン)
 パイロット状況:健康
 機体状況:損傷無し
 現在位置:B-5から移動中
 第一行動方針:自分が利用できそうな存在を探す
 第二行動方針:とりあえずはゲームに乗らない?
 最終行動方針:生き残る】

【ユウキ・コスモ 搭乗機体:ジガンスクード・ドゥロ(スーパーロボット大戦OG2)
 パイロット状況:健康
 機体状況:EN35%消費
 現在位置:B-5密林から移動中
 第一行動方針:ラーゼフォンを追いかける
 最終行動方針:ゲームからの脱出】

【熱気バサラ 搭乗機体 プロトガーランド(メガゾーン23)
 パイロット状況:俺の歌を聴けぇぇぇッ!!
 機体状況:MC形態
      落ちたショックで故障の可能性あり?
      今のところ走らせるのは問題なし
 現在位置:B-5密林から移動中
 第一行動方針:ラーゼフォンを追いかける
 第二行動方針:新たなライブの開催地を探す
 最終行動方針:自分の歌でゲームをやめさせる】

【ギャリソン時田 搭乗機体:ガンダムレオパルドデストロイ(機動新世紀ガンダムX)
 パイロット状況:健康
 機体状況:全弾薬の半分近くを消費
 現在位置:B-5密林
 第一行動方針:黒いガンダムを倒す
 第二行動方針:コスモ達を追いかける
 最終行動方針:ゲームからの脱出】

【ガウルン 搭乗機体:マスターガンダム(機動武闘伝Gガンダム)
 パイロット状況:全身持病の癌、現在小康状態
 機体状況:"損傷無し"
 現在位置:B-5密林
 第一行動方針:ガンダムレオパルドデストロイに乗ったじじいを殺す
 第二行動方針:近くにいる敵機を攻撃
 最終行動方針:皆殺し】

【備考】カテジナさんがどの方角に逃げたかは次の書き手に任せます。
    戦闘地点に小火発生

【時刻:17:20】


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