138話「決意の刃を鞘に潜ませ」
◆ruQu1a.CGo
孤独な夜は後小一時間もすれば明けるだろう。
しかし、夜は明けても“孤独”は明けない。
(まぁ良いさ。…俺は決めたんだ。)
少年、紫雲統夜は傷付いた機体、ヴァイサーガの中で独り呟く。
「孤独でも良い。むしろ関係無い……絶対に生き残る。全てを斬り捨てて俺は生き残る。」
だが、生き残る為にはそれ相応の行動と努力、そして策が必要で。
呟いた後、統夜は一度深呼吸をし機体をチェックする。
──左腕使用不可。
かなりイタイ。だがしょうがない。
──シールド使用不可。
使えないなら捨てる。
──EN若干消費。
問題無い。
──烈火刃一発消費。
こちらも問題無い。
──頭部角の僅かな破損。
こんなの傷の内にも入らないな。
総合的に見て機体は小破といった所か。
残って居る参加者の機体状況と比べると損傷は軽い方だと思う。
このまま潜み、極力戦闘を避け漁夫の利を狙うか否か。
状況から見て漁夫の利を狙うべきなのだろうが“全てに対する怒り”煮えたぎる心を抑えたくはない。
統夜は瞳を閉じる。
そして数分、チカチカと計器類が瞬くその顔を照らした。
「一刀両断。」
その唇から静かな声が綴られる。
「出し惜しみはしない…出会い頭で光刃閃を放てば相手が特機としても大ダメージ。大体の敵は一撃の筈。」
まるでそれは自分に言い聴かせる様に。
「敵が複数なら一体を仕留めた後即離脱。姿を見られても構わない。生き残るのが一番だから…」
まるで星が瞬く様なコクピットの中、統夜は支給品のボトルから水を一口含み、ペダルを踏み込む。
機体が加速する。
含んだ水を飲み込み、レバーを握る。
光刃閃のコードをいつでも打てる様にテンキーは出しっぱなし。
「さぁ、行こう。…俺は絶対に生き残るんだ!」
開いた目が見つめるは闇に浮かぶビルの群れ。
その瞳は燃える様で、冷たい。
【紫雲統夜 登場機体:ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A)
パイロット状態:冷静、マーダー化
機体状態:左腕使用不可、シールド破棄、頭部角の一部破損、若干のEN消費、烈火刃一発消費
現在位置:B-7端(C-7の市街地視認可)
第一行動方針:C-7進入、敵を確認すれば問答無用で光刃閃を放つ。
最終行動方針:優勝と生還】
【二日目 5:20】
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