173話「破滅の足音」
◆7vhi1CrLM6



「『機体の整備』はもういいのか?」

ブリッジに足を踏み入れるなり、声を掛けられた。
この戦艦そのものの声と言っても過言ではないJアークのメインコンピュータートモロの声。
それに「今はカミーユとキラがやってくれている」と返す。
事実、二人は機体の整備を続けていた。
VF-22Sへの反応弾の搬入は既に終わり、書き換えられたF91のOSの復旧を今キラは行なっている。
アムロに最適化されたOSがキラに扱いづらかったように、戦闘中に書き換えられたOSよりも元の方がアムロに適していた。
そして、手の空いたカミーユが向かい合っているのが『機体の整備』、即ち首輪の解析。
その手伝いもせずにアムロがブリッジへと引き返して来たのには、それなりの理由がある。

「指定されたポイントには到着した。それでどうする?」

現在Jアークは、模擬戦を行なったD-3地区を南下し、エリア境目ギリギリの位置で止まっている。
目と鼻の先はもうD-4地区――禁止エリア。
だが、ブンドルの言が正しければその超高々度に――

「少し調べたいことがある。トモロ、D-4地区の地図を展開してくれ」

――天国へと至る門、即ちヘヴンズゲートが存在する。
巧妙に隠蔽され、これまでサイバスターのラプラスコンピューターでしか感知できなかったその存在。
だがしかし、その本質は不安定さからくる空間の綻びである。
ES空間という別次元の空間の運用を前提としたこの戦艦ならば、観測できる可能性は高い。
メインモニターに展開された地図とブンドルの話を重ね合わせつつ、幾つかの地点を指定していく。
それは、サイバスターによって綻びが観測された中から、アムロとブンドルが選別を行なったポイント。

「アムロ、ここに何かあるの?」
「何か……そうだな。一先ずヘヴンズゲートとでも呼んでおこうか。それを探しているんだ」

盗聴を警戒しているとは言え、我ながら答えになっていないと思いつつ返す。
案の定、首を傾げたアイビスは怪訝な顔をしていた。それに「じきに分かるよ」と言って端末に向き合う。
ここからは全てタイピング。
盗聴どころか盗撮までされていたらお手上げだが、それはないと信じてトモロに指示を出す。

『なるほど空間の観測を行なうわけか』
『Jアークならできるな? 発生の前兆、あるいは周期と規模が知りたい』

空間の綻びというものは、常何時でもそこに存在するという類のものではない。
空間そのものが持つ力か、あるいはこの空間を作り出した者の力か、綻べば繕われ、穴が空けば塞がれる。
ならば重要になってくるのは、発生の時期と規模に、発生した瞬間繕われるよりも早く強引に突き破られるだけの力。
それに必要なのは、膨大な量のエネルギー。
ブンドルの見込みでは、コスモノヴァと同等以上の火力が最低三つと曖昧なもの。
詳細な量は分からず、未だ条件も揃わない。
だが、ナデシコとの合流が成れば、条件を満たす可能性が出てくる。その時に備えて出来るだけのことをしておく必要がある。

『細かな状態を観測するのは、この距離では不可能だ。レーダー類も本調子ではない。
 統計から綻びの生じやすい箇所を特定することは可能だが、どちらにせよ一定時間の観測が必要だ』
『ミノフスキー粒子の影響か……仕方ない。Jアークを一時この場に固定する。
 時間は多少かかってもいい。出来るだけのデータを集めてくれ』
「了解した。少々時間を貰おう。だがその前に、東から未確認機が二機接近してくる」

時刻は12時半。ロジャー・スミスがJアークを離れて既に5時間半が経過。
そろそろ接触を持った者たちが集まり始めてもおかしくはない。とは言え会談までにはまだ間がある。
偵察がてら周囲の探索を行なっている者たちならばいいのだが、そう楽観視もできない。

「カミーユとキラに連絡を。F91のOSの状態次第で、俺かキラのどちらかが艦に残る」

 ◇

「ちょっと待った、ブンドルさん!!」

先行するサイバスターから送られてきた映像を一目見て、甲児は声を上げる。
廃墟の街並みの上空に浮かぶ一隻の戦艦。
その姿を知っている。
かつて、とある戦艦の救援に駆けつけたD-7地区で、直に干戈を交えた相手。
その脅威を知っている。
そして、テニアを虐げ、彼女の姉とすら言える人の首を刈ることを強要した極悪な集団。
その許せなさを甲児は――知っている。
テニアの話を思い出しただけで胸が痛み、胸糞が悪くなってくる。その気持ち悪さごと吐き捨てるようにして、甲児は叫んだ。

「Jアークだ!!」

その一言で十分だった。これまでの道中で既にナデシコの話は済んでいる。
警戒を強めたサイバスターが、前方で動きを緩める。その先で、Jアークから数機が飛び立つ。
一、二、三、その数三機。
Jアークに残っているのは、キラ・ヤマトとソシエ・ハイムの二人だけのはず。

「どういうことだ!? 数が多いぜ」
「あの機体は……待て、甲児くん。私の知り合いだ」
「ブンドルさんの知り合い!? じゃああれはJアークじゃないのかよ」

ストレーガを止めようとブレーキをかけ――

「こちらJアーク、キラ・ヤマト」
「やっぱりJアークじゃねぇか!!」

――大きくバーニアを噴かす。一気に速力を上げ、脇目もふらずただ一直線に。

「甲児くん!!」
「分かってるって。あのキラって奴をやっつけて、騙されてるブンドルさんの知り合いを助けるんだろう」
「いや、違っ」
「やいやいやい、キラ・ヤマト!! この俺、兜甲児と雷の魔女ストレーガが相手になってやるぜ!!!」
「ちょっと待って。僕の話を」
「恍けやがって!! だがこれ以上お前の好き勝手はさせねぇぞ!!! ライトニイイィィィィィングショォォォオオオオオオット!!!!!!」
「ちょっと撃ってきたよ。どうするの、アムロ?」
「アムロさんの知り合いでしょ? どうにかしてください」
「……ガロードじゃないのか?」

ざわめき、瞬く間に場が混乱していく。
その中で甲児の気を引いたのは女の声。蒼い機体から流れてきた声だ。

「お前がソシエか! 女だからって容赦しねぇからな!!」
「へっ?」
「待ってろよ! キラを倒したら次はお前の――」
「少し落ち着け、甲児くん」

脇見をしながら全速で突撃していたストレーガが、先回りしたサイバスターに足を引っ掛けられて盛大にすっ転ぶ。
もんどりを打って肩からアスファルトの大地に激突し、弾んで背中を打ち、なおもコミカルに三四回転して勢いはようやく止まった。
廃墟の街並みに真一文字の土煙が巻き上がる。
回るコックピットの中、上下前後無茶苦茶に振り回されながらも、しかし甲児はめげない。
桁外れのパワーを誇るマジンカイザーの反動に比べれば、この程度屁でもない。

「この程度でこの俺とストレーガが止められると思うなよ!!」

素早く起き上がるストレーガ。倒すべき敵Jアークだけを見据えたその瞬間、背後から羽交い絞めにされた。

「何すんだよ、ブンドルさん!!」
「ブンドル、どういうことだか事情を説明してくれないか?」
「原因はそちらにある。だが今は落ち着いて話をするためにも取り押さえるのを手伝ってくれ」
「なんだって! くそっ!! まさかブンドルさんまであいつに騙されてたなんて……許さないぞ、キラ・ヤマト!!!」
「君は少し人の話を聞け」

機体サイズはサイバスターのほうが遥かに大きい。
だが、機体そのものの純粋な力ならストレーガはここの誰よりも強い。
その地力にものを言わせて暴れまわったストレーガが、サイバスターを引き剥がす。

「くっ! 油断した」
「逃げたよ!!」
「追うぞ!!」
「どこに逃げたんだ?」
「へへーんだ。そう簡単に捕まって堪るかよ!!」
「その声、北か!! 追いかけろ!!」

そんなこんなでよく分からぬままに兜甲児捕獲作戦が展開されること十数分。
さんざてこずらせながらも多勢に無勢で次第に追い詰められ、甲児はとうとう捕まってしまった。

「何しやがる!! 放せ!! 放せってんだよ、この野郎!!!」

 ◆

「原因はこちらにあると言ったな、ブンドル。事情を話してもらおうか」

甲児を取り押さえた数分後、Jアークのブリッジにアムロの声が響いた。
その声に、もう少しでギンガナムの二の舞になるところだった、と安堵していた思考を呼び戻し、ちらりと二人の少年を見やる。

「彼らは?」
「Jアークを動かしているキラ・ヤマトと以前話したカミーユ・ビダンだよ。
 それと……今甲児くんを見張っている彼女は知っているな? アイビス・ダグラスだ」

黒い髪の少年と青い髪の少年を値踏みする目で眺め、黒い髪の少年を指して言う。

「なら、原因は彼とこの艦にある。甲児くんはガロードの代わりにナデシコから連れてきた少年だ。
 この戦艦との二度の交戦を経て、彼を危険人物と見なしている」

キラという少年の顔が曇っていく。だが、それに躊躇することなく言葉を続けた。

「かつてこの艦に捕縛されていたテニアという少女の話だが、彼は彼女の仲間の死骸から首輪を取ることを強要し、共犯者になれと迫ったとも聞いて――」
「それは違う!!」

少年が短く鋭く叫んだ。
真っ直ぐにこちらを射抜いてくる視線。怒りよりも悲しみを多分に含んだ眼光。
いい目だと思いつつ、圧し返すつもりで視線を合わせる。

「僕はそんなことしていない」

だが、少年の瞳が揺れることはなかった。
無理に踏みとどまったのではなく、後ろ暗いことは何もしていないと自分を信じきった目だった。

「あなたはどうなんですか?」

不意にもう一人の少年――カミーユが、どこか責めるような口調で横から言い放つ。

「どうとは?」
「その甲児って奴がどう考えているのかはわかりました。でもそれは、甲児がどう考えているかだ。
 あなたはまだ自分の考えを言っちゃいない。他人の考えを自分の考えのように言っているだけです。
 それって卑怯だとは思わないんですか?」
「カミーユ」

嗜めるアムロの声に「だってそうでしょ」と返すカミーユ。
なるほどセンシティブだ。感受性が強く、繊細な感性を持っている。だが、それだけでもない。
この少年もやはり真っ直ぐなのだ。感じたことを率直に言いぶつけられる若さがある。

「答えてください。俺はまだあなたの意見を聞いちゃいない」

納得がいくまで退かない視線をそこに感じて、感づかれないよう心の中で微笑む。
キラもカミーユも、そして今縛られている甲児もサイバスターの操者候補として悪くない。

「そうだな。私の意見を言わせていただこう。率直に言うと、まだ信用できないといったところか。
 私自身がテニアの話を聞いたわけでもなければ、会った事があるわけでもない。ただ彼女の言い分を知っているだけだ。
 それに対して君達とも今始めて会ったばかり、やはりよく知らない。だから君達のここまでの行動と言い分を聞かせてくれ。
 それで君達が信じるに値する者かどうか、私なりに判断させていただく」

 ◆

一方そのころ別室では、縛られた甲児とアイビスが向かい合っていた。
椅子の背もたれに両腕を組み、顎を乗せた格好で、ウィダーinゼリーを啜りながらアイビスが言う。

「だ・か・ら、何回も言ってるけどあんたがそのテニアって娘に騙されてるんだってば」
「何言ってやがんだ。キラって奴に騙されてるのはそっちだろ」

それに、後ろ手に縛られた上にベッドの足に縛り付けられた甲児が言い返した。
アイビスが言えば甲児が言い返し、甲児が言えばアイビスが言い返す。

「悪いのはテニア」
「キラだ」
「テニア」
「キラ」
「テニア」
「キラ」
「テニア」
「キラ」
 ・
 ・
 ・

「ああ、もう!! どうやったらキラが悪者じゃないって分かるんだ!!!」

既に何度繰り返されたのかすら分からないこのやり取り。
議論は常に平行線。互いに一歩も譲らないまま時間だけが無為に過ぎ去っていく。
あまりの相手の頭の固さについ苛立って、大声を上げてしまった。
でもそれはきっとお互い様だったのだろう。甲児も負けじと大声を張り上げて反論を返してくる。

「そっちこそどうやったらテニアは悪くないって信じてくれるんだよ!!!
 テニアは俺達が保護したとき震えながら泣いてたんだぞ。仲間を、大事な大事な友達を殺された。その首輪を無理やり取らされたって。
 それが全部嘘だってのかよ!! そんなわけがねぇ。悪いのは人を人とも思わないキラなんだ。あんたは騙されてるんだよ」
「私はね。ここに来てからいろんな人に守られて、私だけが生き残ってしまって、罪悪感に押し潰されそうになってた。
 それでも色んな人のお陰で持ち直せて、その人たちの為にも精一杯生きて行こうって決めて、でも何も具体的なことは思いつかなかった。
 そんなときにキラに会ったんだ。キラはこの廃墟で、いるのかどうかも分からない私に向かって呼びかけた。
 戦うことを、生きることを否定することはできないって。大事な人が殺されたのなら、殺した誰かを憎むことは、当然のことだって。
 でも、それが全てじゃないって。
 キラも亡くしたんだ。友達を、大事な人を。でも、誰かの命を糧に生き返ることを、そのために誰かを殺すことを、その人達は絶対に許さない。
 だからこの戦いの原因を一緒に討とうって言ったんだ。無謀なことだけど、それがきっと、もういない人たちへの、弔いになると思うからって。
 私はその言葉が嘘だったなんて思いたくない。例え、甲児の言うようにそれが嘘だったとしても、一瞬でもその言葉を疑うような自分でいたくない」
「分かってんだ、そんなことは。誰かを生き返らせるために誰かを犠牲にするなんてのは間違ってる。そんなことは分かってんだよ。
 だから許せねぇんだ! 大事な人を無理やりにでも手にかけさせたあの野郎を!! 
 俺は決めたんだ! これ以上こんなことを続けさせてたまるか、俺たちで止めてみせるって。
 絶対に、この殺し合いを終わらせてみせるって。そう誓ったんだ!!」

立ち上がった反動で椅子が倒れ、ガタンと音を立てる。
精一杯乗り出した上半身に引っ張られて、ベッドの足が軋みを上げる。

「だったら私らに力を貸してよ!!」
「そっちが俺たちに力を貸せよ!!」

言ってることも考えていることも同じだ。
同じはずなのに。何も違わないはずなのに。キラを信じているか、テニアを信じているかの一点だけで分かり合えない。
たったそれだけの違いなのに、互いに歩み寄れない。それが悔しくて唇を噛んだ。

「……なんで分かってくれないんだ」

理由なんて分かっている。同じなんだ。自分がキラを信じているように、甲児はテニアを信じてる。
相手の主張を認めてしまえば、それは信じた仲間への裏切りになる。そんなことが出来るはずがない。
そして、自分は間違っていないと確信している。
だからどちらからも歩み寄れない。足が前に出て行かない。今ここでどれだけ言葉を重ねても、互いの言い分は覆らない。
私は――『無力』だ。
甲児をじっと見つめ、そう思った。真っ直ぐに見返してくる目。急速に徒労感が体を満たしていく。

「ハァ……もうこれ以上何を言っても無駄かぁ……暴れないでね」

そう呟くと甲児に近づいて、後ろ手に縛っていた縄を解いてやった。

「いいのかよ?」
「よくないよ。でもいいんだ。あんたが悪い奴じゃないってのは、よく分かった」

腕に残った縄の跡を摩りながら呟いた甲児の声に、溜息まじりに答えながら思う。
何をやっているんだろうなって。きっと皆に見つかったら怒られることをしてるんだろう。
でも、どうにもこいつをこれ以上縛っておくのは違う気がして、忍びない。悪い奴じゃないんだ。
あーあ、やっちゃったなぁ、と困り顔でいたそのとき、予想外の提案が持ちかけられた。

「なぁ、一つ賭けようぜ。テニアとキラ、どっちが正しいのか。負けた方は勝った方の言うことを何でも一つって条件でさ」
「え〜」
「だってアイビスさんはキラが正しいって信じてんだろ? それとも自分が間違ってましたってここで認めるのかよ」
「認めないよ、私は」
「だったらアイビスさんはキラに、俺はテニアに賭ける」
「待ってよ。私は賭けをやるなんて一言も」
「何だよ。逃げるのかよ。キラって奴の信用度もその程度なんだな」
「うっ……に、逃げないもん」
「へへ、なら決まりだな」
「う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

乗せられて上手く誘導されたような気がして、何となく釈然としないものを感じてアイビスは唸る。
そして、この選択が数分後さらにハチャメチャな方向に彼女を引っ張っていくことになるのだが、このときはまだ知る由もなかった。

「ハァ……なんでこうなったんだろ」

 ◆

キラの話を聞き、カミーユの話を聞いたブンドルの声がブリッジに響き渡る。
眼光は冷たく、鋭く。硬質な、固い声だった。

「なるほど状況を理解した。つまり、君は自分の非を認めた上でナデシコとの話し合いを望み、それをネゴシエイターに託したという訳か」
「そうなります」
「嘘はないのだろう。ナデシコ側(主に甲児くんからだが)から聞いた事実推移にもほぼ当てはまる。君の事を信用しよう。
 だが、一言言わせていただく。自分の犯した罪の精算を代理人に行なわせるなど、呆れ返る。
 それに人命が失われている以上、君の犯した間違いは謝って許されるレベルのものではない」
「カミーユにも同じようなことを言われました。それでも、人が集まることに意味はあるはずです。
 話し合って、それでも僕が原因でJアークとナデシコが手を組めないのなら、僕がこの艦を降ります」
「それは逃げだな」
「違う。そんなんじゃない」

その場をアムロは、一人冷静に眺めていた。
厳しい言葉を吐き続けているのは、ブンドル。だが、それをこの男はわざとやっている節がある。
覚悟の度合いを見ようと言うのだろうか。嫌われ役を買って出てくれてもいるのかもしれない。
いや、両方と見るのが妥当。
ならば、自分に求められているのは、集団のまとめ役ということか。
合流すれば少しは楽になるかと思ったが、どうも見通しが甘かったらしい。溜息混じりにそう思った。
そろそろ頃合、と見て仲裁に入る。

「そこまでにしろ。ブンドル、少し言葉がきつ過ぎるぞ。キラの覚悟はお前が思っているほど甘いものじゃない。
 キラ、軽々しく艦を降りるなどとは言うな。それはお前を信じてここに留まっているカミーユやアイビスを軽んじることになる。
 カミーユは少し気持ちを落ち着かせろ。言いたいことは分からないでもないが、お前が一番感情的になりすぎている」
「……そうだな。すまない少し言い過ぎたようだ。だがキラ、君はここの話が終わったら一度甲児くんとじっくり話をするべきだ」
「ええ……そのつもりです」

二人の会話の隅で、口こそはさまなかったもののカミーユが一人、納得がいかないという顔を向けていた。
やれやれ、ブンドルがその立ち位置を続けるつもりならば、気苦労耐えない位置に自分は立たされたと言うべきか。
年端も行かない子供達を纏め上げねばならなかったブライトの苦労が、少しは分かった気がした。
ともあれ、話は前に進めねばならない。

「ブンドル、そちらの話を聞かせてくれ。彼……甲児くんをガロードの代わりに連れてきたと言ったな。
 ならガロードは、今はナデシコか?」
「そうなる。ではナデシコとの合流から話をさせていただこうか」

そう言って語られ始めるのは、ガロードが同行しなかった理由、仮面の二人組との接触、基地の状況。
そして――

「このデータをそのユーゼスから送られた。アムロ、君の意見を聞かせてくれ」

ディスプレイに映し出されたデータ。円環状の物体の三次元図面に、アンチプログラムと銘をうたれた膨大な量のプログラム。
プログラムはともかくとして、この円環状の物体はほぼ間違いなく――コンコンと首輪を指で突付いて見せた。

「だが、意図的に情報の一部を抜かれたような感じだな。
 カミーユ、どう思う? お前が一番この中でユーゼスという男を知っている」
「俺が手を付けた部分はまだほんの少しですが、本物だと思います。実際にあいつはこの作業を行なっていた。
 だけど、あいつは恐ろしく打算的な奴で異常に頭も切れる。何の考えも無しにただこれを渡したとは考えづらい。
 何か裏に意図が隠されている、と見るべきでしょうね」
「私も同意見だ」
「そうか……キラ、君は?」

その問いに眉間に皺を寄せ、食い入るようにプログラムに目を通していたキラがはっと振り向いた。

「右の……プログラムの方ですが、量が膨大な上に複雑すぎてこれが何なのかは分かりません。
 詳細まで把握しようと思ったら幾ら時間が必要か……。
 だからこれは直感ですけど、アンチプログラムと銘をうたれてますが、ナノマシンか何かのプログラムだと思います」

考えを纏め上げるように、自分の頭の中を出来るだけ整理しながら少年は話し続ける。

「ただ、これを理解出来たとして、手を加えろというのならともかく、同じものを作れと言われたら、今の僕には到底不可能です。
 これは一人の天才が十年二十年と人生を懸けて構築するようなレベルの代物だと思います。
 だから幾らそのユーゼスと言う人が優れていたとしても、これをここに来てからの僅かな時間で作り上げたとは思えない。
 何かしら元となるものを見つけ、そこからプログラムだけ複製して抜き出した、そう見るべきだと思います。
 それにこれが本当にナノマシンのプログラムなら、これだけでは意味を為さない。
 プログラミングされていることを実行できるだけの器が、どこかにあるはずです」

キラは愚かこの箱庭にいる誰もが知らない。それがDG細胞と呼ばれるもののプログラムであることを。
地球環境を浄化を目的とし、「自己進化」「自己再生」「自己増殖」の3大理論を備えながらも、落着の際に狂いが生じたものであるということを。
だが、誰一人として同じものを知らずとも、幾多の次元から集められた中には類似の存在に触れた者が存在していた。

「少しいいか。私のデータベースにこれと同一のものは存在しないが、類似したものが二点存在している」

幾ら優れていると言っても所詮生身の人間であるキラと違い、トモロは高性能な演算能力を備えたコンピューターである。
プログラムの全貌を掴むのも人より遥かに素早い。
その結果、自身のデータベースから探り当てたこのナノマシンに類似したもの、それは――

「三重連太陽系の紫の星で開発されたストレス解消作用を持つ自律ユニットが、暴走し、性質を大きく変えて独自に増殖、進化したもの――ゾンダーメタルのプログラムだ。
 地球文明とは別系統の文明の為、使用されているコンピューター言語は異なるが、変換し、共通部分を抜き出すと見えてくるものがある。
 ゾンダーメタルは重原子が複雑に結合した金属結晶だが、知的生命体に寄生し対象をゾンダー化させる力を持つ。
 それに似た性質。このナノマシンは他者を侵食する可能性を秘めている。それを持ってアインスト細胞の除去を行なおうとしてるのではないか」
「そういえば、以前ユーゼスは三つの『これ』の違いについて、キョウスケ中尉の意見を聞いていました」

そう言って自身の首輪を指し示すカミーユ。

「三つの?」
「ええ、俺たちはこれを二つ回収できたんですが、全て形状が異なっていたんです。
 一つは玉の壊れたもの。一つは山火事の中で回収したものの異形の変化を遂げていたもの。最後は普通の状態のものです。
 それについて思い当たる節がないか、奴は聞いていました。
 それに中尉は、専門的なことは何も分からないが、仲間に機体に付けられた赤い玉を砕いたら元に戻ったことがある、と答えていました」
「だが、これを砕く程の衝撃を喉に与えるのは危険だ。加減を誤れば器官が潰れかねん」
「ええ、だから奴はこのナノマシンでの除去を思いついたんだと思います。採取源は恐らく山火事で回収したものでしょう」
「なるほどガウゼの法則か」
「ガウゼの法則?」
「同一のニッチ、即ち生態的地位に二つの種は長く共存することは出来ないという考え方だよ。
 生物学の考え方だが、仮にアインスト細胞とやらとこのナノマシンが同一のニッチに属するものなら、互いに滅ぼしあいどちらかが残ることになる。
 それを利用しようというのだろう」

これまでそれぞれ異なる道を歩み、それぞれが散らばる希望を集めて回った。
それが今、少しずつではあるが身を結び、前に進もうとしている。その手ごたえを感じる。
しかしそこに響くのは、このナノマシンと類似の性質を持つゾンダーメタル、それを敵とするトモロの忠告の声だった。

「ならば、止めておいたほうがいい」
「何故だ、トモロ」
「このナノマシンがゾンダーメタルと同系統の性質を持っていること前提で話を進めるが、一歩間違えれば機械昇華が起こりかねない」
「機械昇華とは?」
「惑星内のすべての物質とすべての動植物が、機械との融合体となった状態のことを我々はそう呼んでいる。
 浄解の能力を持つ者か、最低でも核を浄化できる力が見つからない限り、危険が大きすぎる」

確かに言われてみれば、だ。
人に、生物に侵食する可能性のあるものを首輪に注入して、人だけが無事でいられると言う保証はどこにもない。
むしろ影響を受けると考えるほうが遥かに自然。
ならば、だ。ならば、そのユーゼスという男はその危険性に付いて気づいていないのだろうか。
いや、話を聞く限りではこの危険性に気づかないような男とはとても思えない。となると――

「カミーユ、ブンドル、奴はその力に当るものを隠し持っていると思うか?」
「正直、分かりません。奴は一人で作業を行なっていた。具体的に何をしていたのか、俺はよく知らない。
 そういうものを見つけた素振りはありませんでしたが、何を用意していても可笑しくない、そういう奴でもあります」
「同意見だ。あの男には、一か八かの賭けに出るほど追い詰められた素振りはなかった。
 隠し持っている切り札が、これと言うことは十分にありえる。
 結局は自分に頼らざる得ないことをこちらに理解させ、協力を求めるのが、あの男の狙いなのかもしれん」
「あいつは協力なんて求めてきませんよ。ただ他者を利用しようとするだけです。
 それに奴の手持ちのナノマシンの量で、何人の解除が可能かも分かりません。
 利用するだけ利用しておいて切り捨てられるということは、十分に考えられます」
「どちらにしても、ナノマシンの除去を行なえる技術に心当たりがあると見て動くしかありませんね。
 勿論、僕達自身でも探さなければなりませんが……」

そう。その通りだ。自分たちだけで状況を打破できる道を得ない限り、結局はユーゼスの手の平の上と言うことになる。
一つでも二つでもいい。奴の手札を減らし、こちらの手札を増やす必要がある。

「トモロ、類似したデータが二つあると言ったな。もう一つは何だ?」
「詳細なデータを得たわけではないので確証は持てないが、フェステニア・ミューズの乗る機体に似たようなナノマシンが使われている痕跡がある。
 ただ恐らくだが、ユーゼスの持つものよりも若干性能が劣るだろう、場合によってはアインスト細胞に逆に駆逐される可能性もある」
「あれか……」
「心当たりがあるのか?」
「ええ、以前の交戦で霧のように空気中に散布されるのを見たことがあります。
 構わず飛び込もうとしたんですが、上手くいえないけど凄く嫌な予感がして、気づくと機体を止めてました」
「そうか……だが機会があれば、確保しておくべきだろうな」

一つ息をつき、とりあえずここまでの情報はまとめておくべきなのだろう、と思う。
その上で更に話し合いを重ね、意見を出し合い、深めていけばいい。それを口にしようとした瞬間――

「へへーんだ。誰が二度と捕まるかってんだ!!」

――威勢良くブリッジの気密度が開かれた。
思わず全員が一斉にそちらを振り向き、しまったという顔をした甲児の姿が目に飛び込む。

「あっ……やべっ!!」
「こら!! 待ちなさいって!!!」

言うが早いか引き返し、瞬く間に遠ざかっていく足音。それを追いかけているのかアイビスの大声も響き渡る。
顔を見合わせたカミーユとキラが溜息を吐いて、勢いよく飛び出して行った。

「ブンドル、素晴らしく行動力に満ち溢れた少年を連れてきてくれたものだな。将来が楽しみになってくるよ」
「……皮肉はよしてもらおうか」

 ◆

「何やってるんですか、あなたは」

狭い通路の先で、アイビスに追いつくなりカミーユが抗議の声を上げた。
それに両手を合わせて「ごめんなさい」と謝る声を耳にしながら、しきりに左右を見回して逃げ出した甲児の姿を探す。
だが、どこかに隠れてしまったのか、姿が見当らない。

「アイビス、彼はどっちに?」
「ごめん……完全に見失ってしまって分からないんだ。だからキラは私と来て、格納庫と甲板を押さえておいたほうがいいと思う」
「なら、俺は艦内を回って探し出すよ。ブリッジも気になるけど、アムロさんとブンドルさんが残ってるから大丈夫だろうし」
「カミーユ、怪我してるんだから無理しないで」
「心配要らない。それより狙われるとしたらキラ、お前なんだからそっちこそ気をつけたほうがいい」
「大丈夫」
「じゃぁ、気をつけて」

そう言って二手に分かれる。
狭い艦内を駆けて、アイビスと共に格納庫に走りこんだとき、キラはそこに甲児の姿を見つけた。
逃げるもせず、機体に乗り込むわけでもなく仁王立ちしてる様子に若干の違和感を覚えながら、思わず身構える。
それを見てか目の前の甲児も身構えた。カミーユとの殴り合いで痛めた傷が、痛かった。

「アイビス、ブリッジに連絡を」

怪我をしていようがどうしようが、応援が駆けつけるまでは一人でどうにかするしかない、と覚悟を決めた瞬間――

「ちょっと待ちなよ、甲児。殴り合いをさせるために手を貸したんじゃないんだから。
 キラをナデシコに連れて行くんでしょ?」

赤毛の少女が怒りながらヅカヅカと甲児に詰め寄って行った。
そして、次の瞬間にはクルリと振り向いてキラに視線を合わせる。

「キラもストレーガに乗って。探してたんでしょ、ナデシコを」
「えっと、つまり彼の脱走劇は……」
「うん。ただのお芝居。何か気づいたら手伝う羽目になっててさ」

あっさりと言ってのけた少女を前に、何か一気に体の力が抜けた気がした。

「キラ・ヤマト、俺はお前のことが信用ならねぇ。でもなぁ、アイビスさんと俺の話し合いじゃ埒があかねぇんだ。
 キラが悪い。テニアが悪いってどっちも譲らねぇ。
 だからアイビスさんに手伝ってもらって、お前をナデシコに連れて行くことに決めたんだ。お前が本当に悪くないって言うのなら誤解を解いてみやがれ」

ああそういうことかとようやく納得がいった。
同時にちょっと前にブンドルに言われた『自分の犯した罪の精算を代理人に行なわせる』という言葉が、脳裏を過ぎる。
別にロジャーに罪の清算まで依頼したつもりはキラにはない。
だが、ロジャーに連れて来てもらおうというのはどこか甘い部分もあったのだろう。それを窘められたのだ。
それに、だ。それにもし自分が一人生身でナデシコに飛び込むことが、少しでも誠意となるのなら悪くはない。
そして、仲直りするのなら早いほうがいいに決まっている。だからこのときキラは、迷いなく一人でのナデシコ行きを決意した。

「分かった。ナデシコに行ってくるよ」

Jアークの甲板から飛び上がったストレーガが飛び上がり、宙に浮く。
一拍遅れて発進したネリー・ブレンを迎え、そして二機はバイタルグロウブの流れに乗ってその場から掻き消えた。
ただ彼らの信じる真実へと向かって、ひたすら真っ直ぐに。



【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ネリー・ブレン(ブレンパワード)
 パイロット状況:精神は持ち成した模様、手の甲に引掻き傷(たいしたことはない)
 機体状況:ソードエクステンション装備。ブレンバー損壊。 EN75%
       無数の微細な傷、装甲を損耗
 現在位置:E-2
 第一行動方針:ナデシコのキラの誤解を解く
 第二行動方針:協力者を集める
 第二行動方針:基地の確保
 最終行動方針:精一杯生き抜く
 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分(全体量の約半分以上)な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません】

【兜甲児 搭乗機体:ストレーガ (スーパーロボット大戦D)
 パイロット状態:良好
 機体状態:右肩に刺し傷、各部にダメージ(戦闘に支障無し)
 現在位置:E-2
 第一行動方針:テニアが正しいことを証明する
 第二行動方針:ゲームを止めるために仲間を集める
 最終行動方針:アインストたちを倒す 】

【キラ・ヤマト 搭乗機体:なし
 パイロット状態:健康、疲労(大) 全身に打撲
 現在位置:E-2
 第一行動方針:ナデシコ組と和解する
 第二行動方針:出来るだけ多くの人を次の放送までにE-3に集める
 第三行動方針:首輪の解析(&マシンセルの確保)
 第四行動方針:生存者たちを集め、基地へ攻め入る
 最終行動方針:ノイ=レジセイアの撃破、そして脱出】



「全く。若い者達は俺達があれこれ考えるまでもなく自分で動き、道を切り拓いて行くものだな、ブンドル」
「そう悲観するほど君は歳を取ってはいないと思うが。時代を作っていくのは若者ならば、維持していくのが大人の務めだ。
 さて、私もユーゼスの動きが気がかりだ。彼らの後を追わせて貰うことにする」
「取り込み中のところ悪いが、一時間弱のものだが例の観測で興味深い結果が上がってきた」

「例の?」と発せられたブンドルの問いに「君もよく知っている」と返して、地図上のD-4地区を指差す。
そして、Jアークの端末を指し示した。
それで伝わったのだろう。盗聴を避けるためのタイピングでの会話が始まった。

『確かに空間の綻びは確認できるが、細かな状態を観測するのはこの距離では不可能だ』
『そうか……何となくでいい。場所の特定は?」
『不可能だ。D-4地区のどこかとしか言いようがない』
『何故だ? 綻びそのものは確認できたのだろう?」
『綻びの数が普通では考えられないほど多く、この距離では規模の違いが把握しきれない。
 出来ることならば、至近距離での観測か長期間に及ぶ観測が望ましい』

そう言って表示されたデータを一目見て、呻きを上げる。
表示されたのは綻びの観測ポイントと発生時刻。
D-4地区と言わず異常な数の綻びが観測されている中で、D-4地区は真っ黒だった。

『時間がないな』

時刻と発生件数を追っていけば嫌でも分かる。綻びの発生数が指数関数的に増大している。
それも周囲に拡がりながらだ。
異常な速度で綻んではその都度繕われる空間。遠からず生地に限界が来てD-4地区は崩壊する。
そして、それが呼び水となり、この空間そのものもいずれ。

『どれほどもつと思う?』
『データが不足しているが、このままの速度ならばまだ数日は大丈夫だろう』
『そうか……もう一つ。扉を開けられるタイムリミットは?』

扉を開けるということは、綻びを掻き回すことと同義。強引に綻びを、空間の傷口を広げるのだ。
それに耐えられるだけの強さを空間が持っている内に、全てをやらねばならない。だがその残された時間は――

『現時点では正確な判断はできないが、三十六時間以内には必ず迎えるだろう』



【アムロ・レイ 搭乗機体:ガンダムF91( 機動戦士ガンダムF91)
 パイロット状況:健康、若干の疲労
 機体状態:EN40% ビームランチャー消失 背面装甲部にダメージ  ビームサーベル一本破損
       頭部バルカン砲・メガマシンキャノン残弾60% ビームライフル消失 ガンポッドを所持 
 現在位置:D-3南部
 第一行動方針:首輪の解析とD-4地区の空間観測
 第二行動方針:協力者を集める
 第三行動方針:マシンセルの確保
 第四行動方針:基地の確保
 最終行動方針:ゲームからの脱出
 備考1:ボールペン(赤、黒)を上着の胸ポケットに挿している
 備考2:ガウルン、ユーゼス、テニアを危険人物として認識
 備考3:首輪(エイジ)を一個所持
 備考4:空間の綻びを認識】

【カミーユ・ビダン 搭乗機体:VF-22S・Sボーゲル(マクロス7)
 パイロット状況:強い怒り、悲しみ。ニュータイプ能力拡大中。疲労(大)
 機体状況:オクスタン・ライフル所持 反応弾所持 EN40%   左肩の装甲破損
 現在位置:D-3南部
 第一行動方針:首輪の解析を行ないつつしばらくJアークに同行
 第二行動方針:ユーゼス、アキト、キョウスケを「撃ち貫く」
 第三行動方針:遭遇すればテニアを討つ(マシンセルを確保)
 最終行動方針:アインストをすべて消滅させる
 備考1:キョウスケから主催者の情報を得、また彼がアインスト化したことを認識
 備考2:NT能力は原作終盤のように増大し続けている状態
 備考3:オクスタン・ライフルは本来はビルトファルケンの兵装だが、該当機が消滅したので以後の所有権はその所持機に移行。補給も可能】

【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL)
 パイロット状態:良好(主催者に対する怒りは沈静、精神面の疲労も持ち直している)
 機体状態:サイバスター状態、各部に損傷、左拳損壊 ビームナイフ所持
 現在位置:D-3南部
 第一行動方針:甲児達の後を追う
 第二行動方針:E-1へ。可能ならユーゼスよりも早くナデシコと合流
 第三行動方針:マシンセルの確保
 第四行動方針:サイバスターが認め、かつ主催者に抗う者にサイバスターを譲り渡す
 第五行動方針:閉鎖空間の綻びを破壊
 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ
 備考1:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能
 備考2:空間の綻びを認識
 備考3:ガウルン、ユーゼスを危険人物として認識
 備考4:操者候補の一人としてカミーユ、甲児、キラに興味
 備考5:ユーゼスが解析した首輪のデータを所持(ただし改竄され不完全なため、単体では役に立たない)】

【Jアーク(勇者王ガオガイガー)
 機体状態:ジェイダーへの変形は可能? 各部に損傷多数、EN・弾薬共に100%  
 現在位置:D-3南部
 備考1:Jアークは補給ポイントでの補給不可、毎時当たり若干回復
 備考2:D-4の空間観測を実行中。またその為一時的に現在地を固定
 備考3:ユーゼスが解析した首輪のデータを所持(ただし改竄され不完全なため、単体では役に立たない)】

【二日目 13:15】


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