148話「疾風、そして白き流星のごとく」
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「マサキ・アンドー……サイバスター、お前の主は散ってしまったか」

 時刻は6:00.二回目の放送が響き渡る。
 ブンドルが駆る空貫く白銀の翼、サイバスター。
 その正当たる操者の名が、幼い少女の声にて読み上げられた。彼だけではなく、数時間前に言葉を交わした者も。

「そしてゼクス・マーキス、カズイ・バスカーク……彼らもまた。カミーユ・ビダンは生き残ったか」

 一回目の放送で呼ばれたラクス=クライン、リリーナ=ドーリアンの知己。
 有力な集団と思われていた彼らが瓦解したことはかなりの痛手だ。
 更に放送にはギム・ギンガナムの名も含まれていたが、これにはさほど驚きはしない。
 粗暴かつ好戦的な男ではあったが、その戦闘力、そして黒歴史の知識は有用なものだった。
 共にいた時間は長くはないがそれでも一度は手を結んだ仲。ブンドルはギンガナムに数秒の黙祷を捧げ、頭を切り替える。
 
 21人。一回目の放送の死者が10人、実に倍以上。
 戦いはますます激化している。それこそ、どんな強者、集団とて容易く脱落するほどに。
 事ここに至り、もはや一人で動くのは上策ではない。ひとまずはアムロ・レイ、ガロード・ランと合流すべきか。

 ギンガナムと戦っていた少女……アイビス・ブレンと言ったか。
 彼女は無事のようだが、ギンガナムを下したのもおそらく彼女だろう。
 あの激昂を鑑みるに、ギンガナムの仲間と目される自分が一人で出向いては要らぬ戦闘を招くのは必定。
 ならばここはひとまず彼女のことは保留し、同志であり技術者でもあるアムロと合流することが先決だ。
 
 アムロ程の腕の持ち主がそう易々と敗北するとは思えないが、いかんせん彼の機体はさほど強力ではない。
 そしてこの戦場には先ほどの黒い機体のような危険な敵がいる。
 もしそんな機体と出会えば如何にアムロとて……。
 
 ガロードと別れたとき、彼にはアムロと合流するように指示した。
 首尾よく合流できたのなら今はガロードの仲間と合流するためにB-1エリアもしくはその付近にいるはずだ。
 まずは北へ。思考をまとめ、変形したサイバスター……サイバードが駆ける。



 宵闇を光が駆逐しつつある朝の市街地。
 本来あるべき人の姿はなく、在るはただ二機のモビルスーツ。
 白と黒の巨人は互いが互いを消し去ろうと戦意で己を、世界を満たしていく。
 
 黎明の光に輝く純白の機体、ガンダムF91。
 ニュータイプと目される少年を乗せ、クロスボーン・バンガードとの戦いに投入され多大な戦果を挙げた名機。
 
 かたや夜闇と見紛う漆黒の機体、マスターガンダム。
 ガンダムファイトという疑似戦争が世界の趨勢を決める未来世紀にて、ガンダムファイターにその人ありと謳われた東方不敗マスタ―アジアが愛機。
 
 対峙する二機は奇しくも同じ「ガンダム」の名を冠している。

「いいねぇ……この緊張感、肌にビリビリ来るぜ。あんた相当の手練らしいな?」
「貴様の目的は何だ? その悪意、ただ命が惜しいから殺し合いに乗った輩ではないだろう」

 ビームライフルを向け、警戒を崩さずアムロが問う。

「目的ぃ? そうさなぁ……とりあえずは楽しもうと思ってな? 滅多にない祭りなんだしよぉ」
「祭り……!? 貴様、これは遊びではないんだぞ!」
「俺に取っちゃあどっちでもいいさ。
 こいつに乗ってからこっち、棺桶に片足突っ込んでた体がどうも軽くなってな? 暴れ足りねえのさ。
 だったら一つ、この祭りを派手に盛り上げてやろうと思って、な!」
 
 言い終わると同時、マスターガンダムが駆け出す。
 人体の動きを正確にトレースするシステムはガウルンの体さばきを寸分の狂いなく再現、矢のような踏み込みを成しF91へと迫る。

「速いな……だが!」

 だがアムロとて百戦錬磨のパイロット。迫る敵機に焦ることなく牽制のビームを放ち、機体を後退させる。

―――この機体、先ほどのギンガナムという男の機体に似ている。おそらくは同じ世界のガンダム。
 ブンドルが言うには射撃装備はないものの、驚異的な格闘性能を持つ機体、だったか。
 あの機体はI-フィールドともサイコフレームの共振とも違うエネルギーを迸らせていた。
 直前に交戦していた獅子の機体と同じ、俺の知らない別世界の技術による力。
 この『ガンダム』も、奴らと同じかそれ以上の力を持っていると考えるべきだ。油断はできない―――

 マスターガンダムが体を捻り腕を振り上げる。
 まだ拳が届く距離ではない……ガードの空いた胴を狙い撃とうとするアムロ。
 だが発射されたのはビームではなく拳。ワイヤーによって伸縮する変幻自在の拳、ディスタントクラッシャー。
 あわやというところで頭部のバルカンで軌道を反らす。

「もらったぜぇ!」

 迎撃する一瞬の停滞は本体が接近するには充分な空隙。伸ばさずとも拳が届く距離に踏み込まれる。
 マスターガンダムが残る右手を振りかぶった。そこにはいつ握ったのか煌々と輝くビームナイフ。
 踏み込む勢いのまま、抉り込むように突き出す
 だが光刃はF91を貫きはしない。アムロは左腕のビームシールドを展開することにより受け止めた。

「ヒュ〜、やるねぇ。完全に殺ったと思ったんだがな。大した反応速度だ」
「あいにくそう簡単にくれてやれるほど軽い命ではないのでな」

 だが、さすがに同じビームで形成されたとはいえシールド型に薄く展開されたものと一方向に収束させたものでは出力は段違いだ。
 シールドが突破される前に勝負を決めようと、頭部バルカン砲、胸部メガマシンキャノンをありったけ撃ち放つ。
 至近距離から砲弾の嵐、だが着弾の一瞬前にマスターガンダムが飛び退いた。

「おおっと、危ねえ危ねえ。いいもの持ってるじゃねえか」

 言葉の割にガウルンはひどく楽しげだ。対してアムロはさらに警戒を強める。
 今の攻防はシールドを突破されたとてF91が失うのは左腕のみ、見返りに敵機のコクピットへ至近弾が叩きこめる罠だった。
 だがガウルンはその結果を予期していたか、ビームナイフが止められた瞬間に足を撓め瞬時に後方へ飛び退いた。
 これは機体によるところではない。操るガウルン自身の類い稀なる死への直感が成せる業。

「それだけの腕を持ちながら……何故無為な戦いを繰り返す!?」
「おいおい、お説教かい? そういうのは他を当たってくれよ。
 傭兵に何故戦うのか、なんて聞くのは野暮ってもんだぜ」
「傭兵……?」
「テロリストでも構わねぇぜ? 何にしろ、俺を説得するなんて甘ぇ考えは捨てるんだな。
 せっかく楽しくなってきたってのに興醒めしちまうだろ?」

 マスターガンダムが弾き飛ばされた左拳を引き戻す。
 幾度か拳を開閉している。損傷はないか確かめているようだ。
 この男には信念も大義もない。ただ殺戮を是とする生粋の戦闘者。
 放置するのは危険。逃がせば必ず、凄惨な戦いの嵐を巻き起こす。
 話し合いによる戦闘の回避など不可能、ならば倒すまで―――アムロは改めてそう決意する。

「名を聞いておこう、黒いガンダムのパイロット。
 こちらは地球連邦軍ロンド・ベル隊所属、アムロ・レイ大尉だ」
「地球連邦軍? ロンド・ベル? 知らねえ名だな。ミスリルじゃあねえのかい?」

 地球連邦軍を知らない、やはり違う世界の人間。アムロは軽い安堵を覚える。
 この野獣のような男が同じ世界出身とは思いたくなかったから。
 己が、カミーユやカツのような若い命が、ニュータイプが戦争の道具として利用される世界。
 この男がおらずとも火種は抑えきれないほどに溢れている。

「まあそういうノリは嫌いじゃあねえぜ。俺はガウルンとでも呼んでくれ」

 だが安堵と同時に、是が非でもこの男は生かしてはおけないと確信する。
 優勝し何を望むのかは知らないが、万が一にも自らの世界に介入されないとは限らない。
 今ここで、倒す。名を聞いたのは放送で生死をはっきりと確認するためでもある。

「行くぞ、ガウルン……!」
「来いよ、大尉殿。楽しもうぜぇ……!」

 そして再び、白と黒がもつれ合う。

========

 F91が引き、マスターガンダムが追う。
 乱立するビルの隙間を高速で駆け抜けつつも、先をゆくF91からビームが放たれる。
 マスターガンダムは時にビルの陰に隠れ、時にビーム布・マスタークロスで反らしじわじわと接近していく。
 
 既に戦闘を開始してから三十分ほど経った。
 アムロは敵手がただの戦闘狂ではないと認識する。
 状況はF91が距離を離して射撃、マスターガンダムがいなす。ただそれの繰り返し。
 だがアムロは手を抜いてなどいない。本気で狙っているのに当たらないのだ。
 
 接近される度に牽制のビームがマスターガンダムを刺し、その都度また距離が開く。
 ガウルンはがむしゃらに近づいてこようとはしなかった。ビルの陰を巧みに用い、決してこちらの射線上に姿を晒そうとはしない。
 その動きはモビルスーツの、というより生身の歩兵を思い起こさせる。
 戦闘技術だけで言えば、今までアムロが対峙してきたパイロットの中でも間違いなく最上級。

 F91の射撃が百を数えようとする頃、さすがにエネルギーが心もとなくなってきた。

―――十分ガロードからは引き離せた。ここで勝負をかける―――
 
 F91を地上へ降ろし、後方のマスターガンダムへと向き直る。

「鬼ごっこは終りかい? そろそろ俺も飽きてきたんだがなぁ」
「同感だ。お前を倒させてもらう……!」

 F91が左手にビームサーベルを抜き、右手のビームライフルを乱射する。
 対するマスターガンダムも、ヒートアックスを構え走り出す。目前より迫るビームはかすりもしない。

「銃口の向きで……射線を読んでいるだとッ!?」

 F91がビームライフルを動かす度、マスターガンダムがその射線からわずかに身を反らすのが見えた。
 遠距離ならともかく、この近距離なら銃口の向きは常から銃を扱うガウルンには容易く読み取れる。
 ましてガウルンの機体はパイロットの動きに同調するモビルファイター、歩兵の技量は存分に発揮できる。
 振り下ろされたヒートアックスをビームサーベルで受ける。
 同時に蹴りが飛んできた。迎撃するには間に合わずスラスターを全開にして避けた。
 マスターガンダムは追わず、蹴り足を回し機体を回転、勢いを乗せヒートアックスを投擲。開いた距離を弾丸のような速度でヒートアックスが駆け抜けた。

「クッ……!」
「捕まえたぜぇ、アムロさんよぉ!」

 F91が再びヒートアックスを切り払ったその刹那、マスターガンダムの伸びた両拳がF91の両足を掴んだ。

「飛んで行きなぁッ!」

 そのまま強引にビルへ向けて投げ飛ばす。馬力で劣るF91は紙のように吹き飛んだ。
 咄嗟にスラスターを吹かしたものの勢いを殺しきることはできず、轟音とともに外壁に激突するF91。
 ハーネス越しでも吸収しきれない凄まじい衝撃にアムロの意識が一瞬飛んだ。
 だが歴戦の戦士の本能ゆえか、その腕は意識とは無関係に操縦桿を倒している。
 ビルに埋まった体勢からF91が弾かれるように飛び出す。
 次の瞬間、F91の胴があった位置へマスターガンダムの黒く輝く指が突き刺さった。

「……、ッ! ガウルンッ!」

 同時にアムロの意識が回復し、素早く戦闘へと復帰。

「おいおい、あんた頑丈だねぇ。まさかまだ動けるとは思わなかったぜ」
「貴様を、倒さずに……死ねるものか。まだ、終わっちゃいない……ぞ、ガウルン……!」

 アムロの戦意は衰えてはいない。だが、今の衝撃で頭を打ったか、その頭部からは血が流れ出していた。

―――深い傷じゃない……だが、長く戦闘を行えるほど軽くもない。手当てが必要だ。
 もはや猶予はなくなった。次の手で倒し切れなければ俺に後はない。
 ……? この感じは―――いや、今はいい。
 頼むぞ、F91……『ガンダム』ッ! お前がガンダムであるなら、応えろ……俺の想いに!

 アムロ・レイ、カミーユ・ビダン、ジュドー・アーシタ。
 ガンダムはいつも人の想いとともにあった。そう、サイコミュなどではない。
 「ガンダムであること」。そこにこそ意味がある。
 力の象徴としてではなく、想いを託され、想いを繋げるマシンとして。
 だからこそ、その力のみを信奉する男が操る「ガンダム」を、アムロ・レイは認めない。

「決着を着けるぞ、ガウルンッ!」

 アムロの咆哮とともにF91のバイオコンピューターが最大効率で稼働する。
 頭部のフェイスカバーが開き、肩の放熱ファンが展開、黄金の粒子を吐き出す。
 太陽のごとき黄金の輝きを纏い、F91が跳ぶ。
 右手にビームライフル、左手にビームランチャー。腰部のヴェスバーが回転し前に突きでた。
 計四つの砲門を構え、マスターガンダムの頭上を取る。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

 眼下のマスターガンダムへ向けて一斉掃射。いくら射線が見えていようと、遮蔽物に隠れようと関係ない。
 眼に映る全てを焼き払えばいい。
 それはまさに神の雷。反撃も回避も許さない、弾幕と呼ぶのも生温いビームの滝。
 残り少ないエネルギー、ここで全て出し尽しても奴を倒す……!
 そんなアムロの意志を体現するがごとく、F91は破壊の光を撃ち出し続ける。

「く……クク……クハ、ハハハハッ! やるじゃ……ねえか……! こんなカードを切ってくるとは、よ……!」

 だが、マスターガンダムは未だ倒れない。
 建造物の陰を転々とし、時にマスタークロスで受け、ダークネスフィンガーで払い、致命打を防ぎ続けている。

「このまま……押し切ってみせる!」
「そうは……いくかァァァアアッ!」

 ビルの陰から腕だけを伸ばしディスタントクラッシャーを放つ。蛇のようにのたうつそれはしかしアムロがすかさず放ったビームに弾かれる。
 だがガウルンは慌てない。今の一瞬で仕込みは済んだ。

「ほうら、こっちだ! 当ててみな!」

 ディスタントクラッシャーを引き戻さず、盾の役割を成さなくなったビルから飛び出すマスターガンダム。
 その後を追うようにビームが奔る。
 ビル群はもはやほとんどが損壊している。遮るものはなく―――

「これで終わりだッ……!」
「ああ、お前さんがな」

 遂にF91のビームがマスターガンダムを撃ち抜かんとしたところで―――ビームランチャーが爆発した。

「何……? 新手か!? そんなはずは……ッ」

 今、マスターガンダムは何もしていない。明らかに後方から着弾した感触があった。
 レーダーも見ずとも感覚でわかる。ここには己とガウルンしかいない。
 後方を映すサブモニターに視線を飛ばせば、そこにあったのは黒い『手』。
 マスターガンダムには拳を飛ばす機能があった。だがオールレンジ攻撃のように自在に動くものではなく、本体からばねの様に射出されるだけのものだった。
 だから一旦打ち出した後はもう威力はないはず―――
 と、そこでアムロは気付く。先ほど走り出たマスターガンダムは、右手を引き戻さなかった。
 ガウルンは拳をこれ見よがしに撃ち、迎撃させて「もう脅威ではない」と認識させたのだ。
 弾かれ、地に落ちた拳はだが機能を失っておらず、F91が後ろを向けた瞬間に動いた。
 ダークネスショット、並んだ五つの小口径砲門から撃ち出す気弾。

 本来想定されていない用途で強引に使われた故か、右拳は沈黙した。
 だがガウルンは悔やまない。拳一つを代償に、ビームのスコールを浴びることなく接近できたのだから。

「殺ったぜ、アムロォォォォォッ!」

 残る左腕でダークネスフィンガーを仕掛ける。
 全力攻撃の最中に奇襲を受けたF91に避ける術はなく、暗黒を纏う指は抵抗なくその胴に吸い込まれた。

「ハハッ、俺の勝ち……!? なぁッ!」

 ガウルンの予定では爆散するはずだったF91は、しかしその望み通りの結果を迎えない。
 F91の影が解け消える。視界を巡らせたガウルンの眼に映ったのは―――

 こちらに銃口を向ける、十重二十重ものF91の姿。

「なんだぁ……分身しただと!?」

 ガンダムF91の持つ様々な技術。
 バイオコンピューター、可変速ビームライフル<ヴェスバー>、ビームシールド。
 どれもが最先端と言える技術ではあるがもう一つ、F91には隠された機能が存在する。バイオコンピューターの緊急排熱システム、装甲表面のMEPE。
 熱を持った装甲表面の金属を剥離することにより効率よく排熱を行う機構であるが、それは排熱のみならず副次的な効果をもたらす。
 すなわち、敵センサーの撹乱。
 熱源反応を持つ金属片はセンサーに誤作動を起こさせる。一つの反応が二つ、三つと増える―――言うなればそう、『分身』効果。
 質量のある残像。それこそがF91の最大の切り札。

「墜ちろ、ガウルンッ!」

 四方八方に現出するF91に、マスターガンダムは防ぐ方向を見定められない。
 鳥籠のように―――乱射されるビームは線ではなく面となってマスターガンダムを覆い尽くした。

「がああぁぁあああぁぁああァァァッ!?」

 全身を灼く痛み。乗り手と完全に同調するモビルトレースシステムは損傷までも痛みとしてフィードバックする。
 灼熱の奔流に打たれ続け身動きが取れず、光に満たされた視界の中でガウルンは死期が来たことを悟った。

―――俺もヤキが回っちまったな。あんな甘ちゃんに殺られるなんてよ……
 どうせなら……そう、カシム。お前になら殺されてやっても良かったんだが。
 全く、白けちまったなぁ。こんな腑抜けた最期だとはよ……

 F91がビームランチャーを放り捨て、サーベルを抜き放ち向かってくる。

―――だがアムロさんよ、アンタにも付き合ってもらおうか。俺は寂しがり屋なんでな……!

 残る左腕でのダークネスフィンガー。
 ビームサーベルを?き消して、この指で串刺しにしてやる―――!

 光刃と黒指が激突し――――――

========

 残ったのは、白。F91が地に降り立ち、膝をつく。
 バイオコンピューターのオーバーロード、ジェネレーターの過剰発熱。
 力を出し尽くしたF91はしばし、機能停止に陥った。

「……勝った、のか」

 激しく息をつくアムロ。戦闘による疲労、頭部からの出血、そしてバイオコンピューターとの同期による消耗。
 F91も、そしてアムロももう限界だ。これ以上は戦えない……
 周囲にマスターガンダムの影はない。完全に破壊できたようだ。
 最後の瞬間、ガウルンは反撃を仕掛けてきた。ビームサーベルを黒く輝く指で押し返そうと。
 その最中、敵機の左腕が爆発。蓄積されたダメージに更なる負荷が上乗せされたのだろう。
 アムロが確認できたのはそこまでだ。閃光が収まった後、マスターガンダムの姿はなかった。

「とりあえずはこの傷を処置しなければ、な……。ガロードとの合流はその後だ」

 排熱が完了。なんとか、動くことはできそうだ。
 立ち上がるF91。歩き出し、放り出したビームランチャーを回収する―――

「―――ッ!?」

 F91の腕がビームランチャーを掴む寸前。
 砲身が「中心から溶けるように割れ」て、入れ替わりに指が飛び出してきた。
―――ビームシールド……起動しない!? なら……ッ!

 指はF91の左腕に喰らいつく寸前、機体のエネルギーに依存しない頭部バルカン砲を半壊したビームランチャーのジェネレーターに叩きこむ。
 爆発、F91は構わず全力で後退。

 爆煙が晴れ現れたのは。地面から這い出た、左腕が欠落しているマスターガンダム。

「チッ、勘の良い奴だな。今のはイケたと思ったんだがよ」
「貴様……生きていたか」
「あんたのおかげさ。見てみな、この地下道。あんたが派手に撃ってくれたおかげで剥き出しになったわけよ」

 マスターガンダムが這い出てきた大穴。その先には大きな空間があるのか、暗く底も見えない。
 ビームサーベルに競り負けたあの一瞬。
 ガウルンはメガ粒子がコクピットを灼くより一瞬早くこの空洞に気付き、わざと左腕に過負荷を与え爆発させた。
 爆発はアムロに破壊したと誤認させ、また反動でマスターガンダムを口を開けた穴に滑り込ませた。

 空洞の中、ガウルンは素早く機体のコンディションを確かめる。
 左腕は肩から欠落し、右腕も指の動きがぎこちない。ダークネスフィンガーはかろうじて使えるだろうが、ヒートアックスは握れないだろう。
 全身の装甲は焼け爛れ、だがそれでもまだ動けるのは苛烈な格闘戦を本分とするモビルファイターという機種の頑健性ゆえか。
 痛みはいよいよ耐え難いものとなってきた。だがガウルンは逃げの一手を打たない。
 獲物はまだ上にいる。そう、自らの勝利を確信した、隙だらけの姿で。

 機体を停止し耳を澄ませる。近づいてくる巨体の足音、今、真上に―――
 ダークネスフィンガーで天井を突き破る。狙いはドンピシャだったが、向こうの反応の方が一瞬早かった。

「まあ、結果は変わらんね。どうやらあんたの機体はロクに動かんようだしな」

 ガウルンが迫る。
 両腕が使えずとも、マスターガンダムの蹴りはモビルスーツを容易く破壊してのける威力がある。

 F91は動かない。
 やっとのことで歩けるようになったのに、先の爆発でまたシステムがフリーズしてしまった。
 モニターに映るマスターガンダムが足を振りかぶる。

「あばよ、大尉殿。楽しかったぜ」

 斧のごとき踵が振り下ろされ―――――――



 疾風が、吹き抜けた。

 F91を撃ち砕くはずだったマスターガンダムの踵を、白銀の剣が受け止めている。
 レーダーには直前まで反応がなかった。探知範囲外から一瞬で飛び込んできたそのスピード。

「先ほどは名乗っていなかったな、闘争を望む醜き者よ。
 我が名はレオナルド・メディチ・ブンドル。美しきを愛する騎士である」

 風の魔装機神、サイバスター。風の名に恥じぬこと、まさに疾風。

「……こちらはアムロ・レイ。いいタイミングだ、ブンドル」
「アムロ、君だったか。その機体は……なるほど、腕に見合う美しい機体に巡り合ったか」

 アムロの内にそれほど驚きはない。
 拡大した知覚領域で数分ほど前にこのエリアに新たな反応が現れたことを知った彼は、その反応が知ったもの……ブンドルであると悟った。
 そして万が一ガウルンを仕留め損ったとき彼が介入できるように、派手にビームを撒き散らしてこの位置を伝えたのだ。
 サイバスターは満足に動けないF91の前に出る。

「おいおい、良いところだったのによ。あんたはまったく人の邪魔ばかりしてくれるねぇ」
「それは申し訳ないな。だが私としても君の顔を見るのは嬉しいものではないのでね、ここでご退場願おう……!」

 焦りのないガウルンにやはり油断ならないと肝に銘じ、疾風が今にも駆けんと――――

「おおっと、二対一ってなぁフェアじゃねぇなあ。ここは退かせてもらうとするぜ」

 する、その前にマスターガンダムは後退する。
 追撃しようとするサイバスター、だが一瞬早く飛来した何かがF91を狙う。
 軌跡を見極め、弾く。それはビームで形成された短剣だった。
 その一瞬の隙を突いてマスターガンダムはF91の砲撃により顔を覗かせた地下通路へと身を躍らせた。

「中々面白かったぜ、アムロさんよ。機会があったらまた闘り合おうじゃねえか。
 それにあんたはブンドルって言ったか? 二度も邪魔をしてくれたんだ、あんたはいずれ殺してやるよ。じゃあな」

 一瞬の内にマスターガンダムの黒い躯が漆黒の闇へと融ける。

「フン、見事な引き際だな。戦を心得ているか」
「逃がすか……!」
「待て、アムロ! 追うな!」

 F91を再起動し追撃しようとするアムロをブンドルが制する。

「この地下部がどれほどの規模かはわからないが、そこでは奴には勝てん。それがわからん君ではないだろう」

 狭く暗い空間。F91のビーム兵装は崩落の危険があるために使えず、サイバスターの機動性もほぼ殺される。
 対して敵機、闇に同化するマスターガンダムは四肢による格闘戦を本分とし、スラスターではなく脚部を用い移動するため狭隘な空間でも小回りが利く機体。
 手負いとはいえ二機がかりでも敗走は必至。地下は今やガウルンの狩り場なのだ。

「……ああ。悔しいが今は奴を仕留められない、ようだ。だが、次こそは……!」
「そうだ、我々はまだ負けたわけではない。次の機会あらば確実に奴を打倒してみせよう。
 ……さて、アムロ。情報を交換したい、場所を変えよう。
 色々あったようだが、ここでは奴の気が変わって……といったことになるかも知れんからな」



 マスターガンダムが地下に逃げ去った後、安全と思われる所まで移動した二人は周囲の警戒を切り上げ一息ついた。

「すまない、ブンドル……助かった」
「間に合ったようでなによりだ。それにあの男は私が取り逃がした男でね、礼を言う必要はない。元はと言えば私の不手際だ」

 アムロの頭部の傷を処置しつつ、別れた後の経緯をお互いが語り出す。
 ギンガナムを仲間に引き入れたことにアムロは驚いたが、その彼ももういない。

「おそらく、ギンガナムと戦っていたその流線型の赤い機体。乗っているのは俺の知り合いだ」

 ブンドルの話でアムロの興味を引いたのは、突如転移してきた赤い機体。
 覚えがあるのも当然だ。あの男……シャアが命を賭けて守ったであろう少女なのだから。
 だが彼女は不安定ではあったが、見ず知らずのブンドルにまで見境なく襲いかかるほど戦いに呑まれてもいなかった。
 ならばおそらく原因はギンガナム。どこまでもはた迷惑な男だ、と嘆息する。

「ブンドル、俺は彼女と合流する。俺ならばまだ話は通じるだろう」
「心得た。ではガロード・ランのところには私が行こう。彼女を守ってやってくれ」
「ああ……そうだ、もう一つ。君はカミーユにあったと言っていたな?」
「カミーユ・ビダンか? うむ……今から半日ほど前だ。
 同行していた仲間が皆逝ったようだが、あの少年はまだ生き延びているようだな」

 少年? カミーユはグリプス戦役時はたしか17歳だったはず。それから4年たっているからもう青年と言える歳であるはずだ。
 アムロの時間からすればカミーユはもう少年ではない。とはいえグリプス戦役の後、碌に顔を合わせてはいないのだから確かだとは言えないが―――

 そこでアムロはアイビスとの会話を思い出す。
 彼女は一年戦争もジオン軍も、ネオ・ジオン軍による5thルナの落下も知らなかった。
 一年戦争後の生まれならともかく、15は超えているだろう彼女がネオ・ジオン軍を知らないとは考えにくい。
 そこからアムロとシャアは、「参加者はパラレルワールドから集められた」という突拍子もない解釈を導き出した。
 その解釈からもう一歩、踏み込む。
 異世界間の移動ができるほどの技術なら、同世界内での時間遡行も可能ではないか―――と。
 そもそも、今アムロが搭乗しているこのガンダムF91。この機体にはアムロの時代より何世代も先の技術が使用されている。
 アナハイム社が極秘裏に開発していた、という線もなくはない。
 だが、より大型・より高火力のモビルスーツ開発に傾倒していたあの時代にこのような小型機を開発しようとするニーズはないだろう。
 アムロの時代より未来から持ってきた……と考える方が自然に納得できる。
 ブンドルに今考えた推論を話すアムロ。
 彼とて納得し難い様だったが、おそらくはできるのだろう、と返してきた。
 ブンドルが元々知る超エネルギー、ビムラー。それにここで新たに検知したゲッター線という未知のエネルギー。
 それらを意のままに操れるなら、時間操作とて不可能ではないかもしれない。

「だがアムロ。それがカミーユ・ビダンに何の関係が?」
「俺の時代からカミーユが参加しているならそれほど問題はないが、それ以前……特に戦時中のカミーユだと少々まずいことになる。
 先の放送で―――その、シャア・アズナブルという名が呼ばれただろう?」
「シャア・アズナブル……君の宿敵だったか。それで?」
「シャアはその頃のカミーユの上官……いや、ある意味での導き手だった。」

 シャアの名を口に出すと同時、アムロの胸に僅かな痛みがよぎる。
 この手で決着を着けることが叶わなくなったから……それだけだろうか?

「カミーユは俺とは比べ物にならないほど研ぎ澄まされた感性を持っていた。
 あの頃のナイーブな彼が呼ばれたのだとすれば……」
「シャア・アズナブルの死に必要以上に動揺する?」
「そうだ。いや、動揺では済まないかも知れない。彼はあの男に地球圏を導くという役割を求めていた。
 それほど奴の存在は彼の……いや、俺達の中では大きいものだった」

 アムロの様子には気付いたろうが、ブンドルは何も言わなかった。
 それを有難いと思うアムロは、やはり己もシャアの死を未だ受け止めきれていないのだ……と自嘲する。

「とにかく、カミーユに会ったら俺の名前を出してくれ。信用されているかはわからないが、少なくとも敵対されることはないはずだ」
「心得た。……私としても、彼には個人的に興味が出てきたよ」

 後半の言葉はアムロには聞こえなかったようだ。
 そしてひとしきり情報を交換し、行き先を決める。
 アムロの機体に関する懸念も解消された。これなら分散しても大事はないだろう。

「ではアムロ。彼女と合流できたら次の放送までにG-6の基地で落ち合おう」
「了解だ。死ぬなよ、ブンドル」
「そちらもな」

 白き流星が飛び立つ。その軌跡を眺め、ブンドルは思う。
 この機体、サイバスター。本来の操者が散った今、この機体自身が新たな操者を選ぶことはあるかも知れない。
 だがきっと、それは自分ではない―――と。

 マサキが逝った具体的な時間はわからないが、ゲーム開始当初には感じなかった違和感がこの数時間幾度かブンドルを襲っていた。
 ブンドルはそれをサイバスターの意志とみている。己が操者にふさわしいか品定めをしていたのだろう。
 そして結果は、『否』。意志は感じられども新たな力が引き出されるようなことはない。
 アムロの機体がニュータイプとやらを擁せねば力を出し切ることができないように、サイバスターもブンドルでは駄目なのだ。おそらくはアムロでも。
 サイバスターが求めているのは理屈や論理に優れた大人ではない……もっと若い心、善悪の価値観や感情からではなく、言うなれば「魂」で倒すべき敵を見定められる者。
 非力な機体でサイバスターに立ち向かおうとしたマサキ・アンドーのように、大きな危機に際し打算や私怨に囚われず戦える者……そんな気がする。

「もし……そんな者が私の前に現れ、我らと志を同じくするならば……」

 そのときは託そう、このサイバスターを。
 強力というだけではない、ラプラスコンピューターというゲーム打破の「鍵」となり得る力を持つこの機体を。
 それがあの邪悪な主催者を討つ一歩となるなら。
 今話に出たカミーユ・ビダン。彼なら一見条件を満たしているように思えなくもないが。

「いや……まだ結論を出す時ではないな。未だ見ぬ誰かであるやも知れぬ」

 ビームナイフを回収し、サイバスターが飛ぶ。行き先は北西、ガロード・ランのいる場所。

「願わくば……その誰かは、美しき者であってほしいものだ」


【アムロ・レイ 搭乗機体:ガンダムF91( 機動戦士ガンダムF91)
 パイロット状況:F91によるニュータイプ能力の意識拡大 疲労 頭部から出血(処置済み)
 機体状態:EN10% ビームランチャー消失 背面装甲部にダメージ 
      ビームシールド一時機能停止 頭部バルカン砲・メガマシンキャノン残弾80%
 現在位置:D-8
 第一行動方針:どこかで補給を行い、アイビスと合流する
 第二行動方針:基地に向かい首輪の解析
 第三行動方針:基地にてブンドルと合流
 第四行動方針:協力者の探索(カミーユ優先)
 第五行動方針:首輪解除のための施設、道具の発見
 最終行動方針:ゲームからの脱出
 備考:ボールペン(赤、黒)を上着の胸ポケットに挿している
    シャアの死亡を悟っています
    ガウルンを危険人物として認識
    首輪(エイジ)を一個所持】

【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL)
 パイロット状態:主催者に対する怒り、疲労(主に精神面)
 機体状態:サイバスター状態、各部に損傷、左拳損壊 ビームナイフ所持
 現在位置:D-8
 第一行動方針:ガロード達の集団に接触する
 第二行動方針:三四人の小集団を形成させる
 第三行動方針:次の放送までに基地へ向かう
 第四行動方針:サイバスターが認め、かつ主催者に抗う者にサイバスターを譲り渡す
 第五行動方針:閉鎖空間の綻びを破壊
 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ
 備考:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能
    空間の綻びを認識
    ガウルンを危険人物として認識
    操者候補の一人としてカミーユに興味】



「さて……どうしたもんかね、こいつは」

 目前であがく「少年」を見下ろし呟くガウルン。
 その少年の名は紫雲統夜。今は自らの衣服によって自由を奪われている。

「畜生! 解け、解けよっ! 何なんだよあんたは!」
 
 空を埋め尽くすミサイルから辛くも逃れた彼は、偶然落ちた地下空間に潜伏しようと決め、交戦座標から幾分離れたところで休憩を取っていた。
 疲労がたまっていたためすぐに眠りに落ち、起きたら目の前にはヤバそうな男、自身は縛られていた。

「あんたも俺を殺そうってのか!? くそっ、ふざけるな、俺は死なない! 死にたくないんだッ!」

 アムロとブンドルからまんまと逃げおおせたガウルンが気づいた違和感。
 先ほど撤退するとき、ごく自然に「右手で」ビームナイフを投擲した。
 右拳は沈黙したはずなのに―――
 だがガウルンはまあいい、と気に留めない。この機体がヤバいのは薄々わかっていたことだ。
 戦えるのなら万々歳だ。癌の痛みも消してくれてありがたいことこの上ない。
 それでもさすがに休息が必要と感じ、地下通路を彷徨っているうちに見つけたのがこの少年だった。

 マスターガンダムの三倍はあろうかという巨大な機体。
 だがここまで接近しても構えないどころか反応すらしない。
 まさかと思い機体から降りて接近し、案の定動きのない巨体によじ登り――――――

 こうしてヴァイサーガのコクピットから引きずり出された統夜は、上着を引き裂かれて作った縄で縛られているというわけだ。
 鬼気迫る顔で喚く統夜に、殺して機体を奪おうかと思案していたガウルンの胸中にふと興味が生まれる。

―――こいつは面白い。こう容易く無力化されるということは訓練された兵士ではないのだろうが、言動や表情から察するに「乗って」はいるようだ。
 そしてこの時間まで生き残っている。群れる仲間もなく、なら逃げ回っていたかと言えば機体の損傷具合からそれもない。
 つまりは機動兵器操縦の資質があるということだ。もちろん、資質だけでなく機体性能もあるのだろうが。
 今は死の恐怖に呑み込まれ己を見失っているようだが、「そこ」を過ぎれば化ける。
 そう、あのカシムのように死をすぐ隣にあるものとし、命というものに無感動になれば。
 今はまだ蕾。だがそれが花を咲かせれば……きっと、「楽しめる」。
 決まりだ。こいつは叩けば叩くほど鋭くなる。そしてこのゲームはそのための餌には事欠かない―――

「落ち着けよ坊主。何も取って喰いやしねえよ。お前、このゲームに乗ってるんだろう?」

 ようやく声を出したガウルン、少年は油断なく……というより恐怖に強張った目で睨みつけてくる。

「俺もそのクチさ。だがさすがに歳なもんで、一人じゃ辛いと思ってたところでな……」

 両手を上げ敵意がないことを示す。その後もいくつか言葉を重ね、自身も手頃な段差へと腰を下ろす。
 殺すつもりがないとわかったのか、少年が脱力した。
 些か情けないと思ったガウルンだが、まあこれからだと思い直し、告げる。

「そこでだ、坊主。俺と手を組まないか?」

 ……目を丸くした少年の顔は、正直なところ傑作だった。



【紫雲統夜 登場機体:ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A)
 パイロット状態:疲労大、苛立ち、マーダー化 拘束
 機体状態:左腕使用不可、シールド破棄、頭部角の一部破損、全身に損傷多数
      EN1/4、烈火刃残弾ゼロ
 現在位置:C-8地下通路
 第一行動方針:なんなんだこいつ……!?
 最終行動方針:優勝と生還】

【ガウルン 搭乗機体:マスターガンダム(機動武闘伝Gガンダム)
 パイロット状況:激しい疲労、全身にフィードバックされた痛み、DG細胞感染
 機体状況:全身に弾痕多数、頭部・胸部装甲破損、左腕消失、マント消失
      DG細胞感染、損傷自動修復中、ヒートアックスを装備
      右拳部損傷大、全身の装甲に深刻なダメージ EN20%
 現在位置:C-8 地下通路
 第一行動方針:統夜に興味。育てばいずれは……?
 第二行動方針:アキト、テニア、ブンドルを殺す
 第三行動方針:皆殺し
 最終行動方針:元の世界に戻って腑抜けたカシムを元に戻す
 備考:ガウルンの頭に埋め込まれたチタン板、右足義足、癌細胞はDG細胞に同化されました 】

【二日目7:35】


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